エグゼイドを完走したのでオーズのマラソンを再開し、完走した。
あまりにもドライで平成ジェネレーションズFINAL出身者としては驚きを隠せないのだが、あのめちゃくちゃにドライなアンクと映司くんを通して、秀くんとりょんくんが得た絆が平ジェネFにつながって行くのだと思うと、心が躍るなぁ、永夢……!!
・登場人物
・映司くん
めちゃくちゃかわいい。
何のてらいもなく人助けをするヒロイックなところや、真っ直ぐ自分の言葉で人間を正そうとしたり、スーパー主人公だなと思う。で、可愛いばっかじゃなくて意外と強かにアンクを利用したり、阿呆じゃない。
その映司くんがかつて求めたのが世界平和とか争いのない世界で、それが成し得ないと理解してしまった映司くんが求めたのがそれを成すための力というのが、かつて求めたものと乖離していて悲しい。
アンクに対する情が言葉や行動ではなく「長く共にあった」という一点のみで気づいたというところがつらい。あくまで利害関係で共にあったのに、そうと割り切るには長くありすぎてしまっていて、だからこそグリード化していく己が知った事実と照らし合わせてアンクが求めたものを理解出来たのだな。
誰かを助けるためにどこまでも届く腕、力。映司くんは初めてアンクから与えられるだけじゃなくて共に戦って、やっとそれが一人でなければもっと広がるってことに気づけて、その手を取ったのが反発しながらもずっと助けになろうとしてくれてた後藤さんってところでまた泣いた。
・アンク
めちゃくちゃかっこいい。
利用し、利用される関係で構わなかったはずが、映司くんと同じで共に長くありすぎたが故に情が芽生えてることを受け入れたところでわんわん泣いた。アンクは人のような生を終ぞ得なかったけれども、人のように扱われること、映司くんがアンクを肯定すること、比奈ちゃんに『生』を認められるっていう最低限のことでめちゃくちゃに満足してたっていうことが切ない。わざわざクスクシエに来てまでアイスを食べて、そこにあった時間を想うアンクはまるで人間だった。
一人で背負いまくる映司くんを周りの人達は心配していただけれど、アンクがグリードだったからこそコアメダルという形で背負いまくる映司くんの象徴たるプトティラコンボを真っ向から否定するの良かったし、その「存在を無に帰す紫のコアメダル」が枚数や能力も含めて最後の技になるの上手過ぎてやばかった。
出会ったことが間違いじゃなかった、というそれは、お互いの望みを果たしその先をさらに願うという、映司くんにとっては目標であってアンクにとっては充足というの何度思い返しても涙ぐむ。
・比奈ちゃん
聞き分けが良すぎる怪力少女。
ビルドとエグゼイド出身なので、ヒロインに何の能力も無いということに戸惑ったりしたが、彼女は別に何か能力が必要だったというわけじゃなくて、映司くんの持たない欲望や夢を代わりに持ち続け、兄を通してアンクを人間扱いするというところに彼女の特別さがあったんだと思う。
あまりに聞き分けが良すぎて健気すぎて、もっと自由に生きてと思った。
・後藤さん
序盤胃潰瘍になりそうだと思いながら見てたけど、最後の方はかっこよすぎて最高だった。
成長、という観点ではこの人が一番していて、その成長が意固地になってる映司くんの腕を掴むのが本当にいいシーンだった。
・伊達さん
ハイスペック筋肉。なんでも出来るのに唯一自分の傷だけどうしようもなかったという切なさ。
めちゃくちゃにこの人は大人で、里中とはまた別にいろんなことを割り切っていて、受けた傷がヤバいということもそれをどうにかするということも、戦い方もちゃんと継承して行く懐の深さが良いキャラだった。
・グリード
ガメルが可愛い。
メズールとガメルの求めた欲望の切なさが好きだった。メズールの愛情への欲求は、愛情を与えられることではなくて与えることにあったのだと思うし、ガメルはメズールそのものが欲しかったのだろうと思う。
アンク(ロスト)CV.入野自由よ。
あまりにもやられ方があっさりしているものだから悔しくて仕方なかったが、その後に待ち構えていた展開で吹っ飛んだ。めちゃくちゃ可愛かったよ、当時声聴きたさに見たシーンとか出てきて懐かしかったよ。
・ストーリー
・ドライ
序盤一滴もウェッティな気配がない。利害関係でしかなく、そのまま随分な時間を過ごしていたのに、その中で「あいつならこうする」とかそういうのが芽生えてきて、最後にやっとその情に気づくというのが、ドライすぎて本当に驚いた。男児向け特撮作品なら熱い友情とか描かなくていいの? と思った時もあったが、オーズは「情を得るということ」「腕を伸ばし掴むということ」を描きたかったのだろうなと思うと、これでよかったんだと思う。
このめちゃくちゃにドライな話の中で、共に長い時間を過ごした秀くんとりょんくんがかけがえのない友情を得て、それが平ジェネFまで脈々と息づいているということが素晴らしく尊い(2回目)。
噂の「キタムランド」についてだけれど、あれは「あぁ毛利さんだな」と何となく思えてしまった。有賀に対するシンの執着や(それを振り切って有賀がいつきの手を取るところも含めて)、穂波が万夜様を求めたことや(けれど万夜様が求めたのは小太郎であることも含めて)、毛利さんの描く人間の執着の話だと思った。あの回は利害とかそういうことではなくて、己を選ぶのか選ばないのかという非常に感情的な回だったと思う。シンや穂波よりずっとマイルドだと私は思うよ。
・ゴール
なんとどう最終回を迎えるのかも知らないのに「いつかの明日」の片鱗を知っている状態から見始め、映司くんがあの時(映画で)伸ばした手の尊さを知って見終わった。
映司くんが失ってしまった希望を、アンクが生きるという意味を、48話かけて知る話だった。二人の最後の関係は「信頼と友情」でも「信仰と思慕」でもなかった。なんて言ったらぴったり合うのか、まだちょっと考え中だけど、「利用と親愛」なのかな、持ちつ持たれつというか、利用からの変化とか。
オーズって、最初本当に僅かずつしか登場人物の心が動かないし、物語もメダル争奪戦を主軸にしていて急展開もない。明かされる真実も映司くんの辛い経験が一番重いものだ。その動きのなさ、淡々とした語り口がオーズという物語の持ち味だったんだろうと思う。感情的な物語に絆されがちな私はそこで低速化して、エグゼイドに注力した(結果としてはエグゼイドもドライだったが)。けれど、感情の通ってない話なんかじゃなかった。破綻もない、伏線回収も鮮やかだった。面白かった。ラスト3話本当に泣きながら見た。最高だった。
もしかしたら書き足したり書き直したりするかも!