サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

『仮面ライダーウィザード』完走

ついに完走した。

今までで一番大変だった。アイドル*1にハマってたりしてたのでやることがいろいろあった。

その中で前回の完走記事である鎧武*2から四ヶ月が経ち、あまりにもペース配分が下手くそすぎる問題という、私の新たなる欠陥が発覚したがひとまず完走した。

キャラクター

晴人くん

なんか、リアコ枠だなと思った。

というのも、晴人くんはいちいち芝居がかっているのだけど、それがそのまんま晴人くんの気質というよりかはどうやら頑張ってるっぽいというのが終盤になるとよくわかってくる。

晴人くんは彼にのしかかってきた色んな辛いことを乗り越えてるような乗り越えてない無いようなそういう危うさがあって、そういうところがこう、くすぐられるなと思う。

全体的には捉えどころがないというか、しっかりとした「らしさ」を前面に押し出す「濃さ」が無い分、サラッとした印象を受けるけども、「魔法使いであること」や「仲間に肯定してもらうこと」に結構依存している感じもあって、それが晴人くんらしさなのかもしれない。

自分の意思とは無関係に巻き込まれた戦いの中で、それでもヒーローとして在ろうとする晴人くんが、私はとても好きだな。

仁藤

出てきた時「いやみなまで言わせてくれ〜〜」と思ったのだが、最後の方はもう「みなまで言わずともわかってる仁藤」の格好良さに救われていた。

晴人くんを曇らせる色んな試練を、仁藤が再び語らせない(口癖でも、戦闘の中の強さでも)という信頼が彼の魅力だった。

晴人くんと比べて「濃い」人であるが、晴人くんが繊細に色んな問題を感じ取って悲しみ悩むのと対照的で、楽観的でありながら事実を受け止めて断じて行く姿はとってもヒーローらしくて良かった。彼のように生来明るいであろう人にライバルと呼ばれることで、晴人くんの心も軽くなることがあったんじゃないかと思ってしまうな。

ざっくばらんさを持ちながらも、晴人くんの心やみんなの心にずかずかと入っていかない分別が、とても魅力的だった。

コヨミちゃんなど面影堂

コヨミちゃんがあまり出張ってこないのでどうしようかと思ったが、面影堂の姫だったので仕方ない。あんなに慈しまれて愛されているコヨミちゃんが、もう戻って来られないことが辛すぎる。コヨミちゃん、晴人くんとデートまでしてたじゃん?? 幸せな二人が見たすぎる……。

面影堂にいる面々が多かれ少なかれ晴人くんに恩義を感じ、晴人くんの持つ力やこれまでを肯定してくれることが、晴人くんの繊細なハートを支えてる描写がちょくちょくあるのが好きだった。

あと木崎さんね。木崎さんいいよ。木崎さん今なにやってんのかなって思ったらクロードに出るらしいよ。*3

ファントム勢やメイジたち

フェニックスがあのまんま本能に忠実に生きて太陽まで吹っ飛ばされずに「気に入らねえしちょっとワイズマンに反旗翻すわ」くらいの感じで一瞬味方になることを期待したがならなかった。なったら多分私の仮面ライダー史の中で指折りの好きなキャラになった*4気がする。

ミサちゃんと真由ちゃん姉妹がとても魅力的だったし、空もファントムになろうがなるまいがヤバイ奴で、まさかあんなところまで空が出張ってくる強敵になるとは思いもしなかった。

空のあの察しの良さや狡猾さはやはり他のファントムと違って人間を完全に理解した、元々が犯罪者であるという「ヤバさ」に由来しているわけで、それを前山さんの美しいお顔立ちがよく引き立たせてくれている素晴らしいキャスティングだったと思う。

ストーリー

淡々とした展開

メデューサがゲートを見つけ、魔法使いがファントムからゲートを守り、ゲートの問題を解決し、ファントムを倒す。これを二話分、ずっとやり続ける。中盤の話の動かなさには少し驚いた。

そういう面では仮面ライダーとしてのかっこよさやコヨミちゃんなどの設定の切なさを、あまり活かしきれてなかった印象を受ける。その反面、ゲートは濃いめの味付けだった気がするし。結構出てくるゲートのこと苦手なパターン多くて大変だった。

まあそうは言うけど、ウィザードとしての戦いはどこまでもスマートで優雅、流れるようなアクションがとてもカッコ良いし、静かに進む物語が晴人くんやコヨミちゃんの心の揺れを美しく表現していたように思う。

「希望」とは

終始切ないというか、誰の希望も明確には叶って居ない感じが非常にビターな作品だった。

コヨミちゃんだって本当はもっと生きたかったろうし、晴人くんだって本当は一緒に居たかったはずだし、笛木は志半ばで死に、ミサちゃんは裏切られ……。

希望という漠然としたものをそれぞれが淡く心に抱いていて、それを頼りに生きてるし、例えそれがなくなってしまったとしても人間は生きていかないといけない。もういなくなってしまったものとか、自分が手に入れられるはずのないものに縋って生きていくのではなく、希望としてちゃんと胸に抱いて生きていかないといけないんだな……と非常に感傷的に思っている。

ドラマチックな大団円ではなく、あくまでも静かに凪いだ苦い物語として終えたことに、意味があるんだろうなぁ。

最後に

「48話くらいかな」と見始め、50話を超えるということに気づいたのはだいぶ過ぎた頃だった。長いんですねウィザードって。

晴人くんとコヨミちゃんの二人がとても応援したくなる二人だったので、あんなに切なく分かたれてしまったことがとても辛い。二人の幸せなデートがもっと見たかった。ウッ……悲しい……。幸せな二人ください……。

あとは恩人の息子を右腕にする木崎さんください……。