サニーサイドアップフォーチュン

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『+ GOLD FISH』感想

ちなみに、映画は見ていない。
ピカレスクセブンとonly silver fish - 夜明けの星を待ってる

銀の方が「松田凌」という役者の濃ゆさは強く、愛の重いマシューのめんどくささや周りの登場人物の厄介さも相まって話も混迷を極め、片時も目が離せない緊張感があった。
金の方がエンディングが大団円で後味スッキリという印象を受けるし、ストーリー自体もスッキリしている。一つ一つ(一人一人)の厄介ごとを順番に片付けて行くので、一人一人の気持ちを考えやすく観やすい。
銀ラストで「メアリ」の呼びかけていたが、その名前ははまさにアガサその人であった。メアリ*1曰く、魚の名は愛する者の名であるということで正解だったわけだけど、メアリ──クラリスがアーチボルトを呼んだとき、エミリーがルイ呼んだときは何故「過去を振り返れなかった」のだろう。説明してた? マーティズがすでに使ってしまったオンリーシルバーフィッシュの「過去を振り返る力」もまた一度しか使えない孤独な力だったということなのかな。であればもうクラリスの心は浮気してるアーチボルトから離れていたのか。

ところで、銀の方が未来の出来事で、金の方が過去になるわけだね。マシューのお祖母様がクラリスのわけだから。
今にして思えば、クラリスが赤い服を着ているのは示唆的だった。銀でも赤い服を着ていた「アガサ」だったわけだから。クラリスの「私も嘘つきなの」もクラリスがアガサであるということを隠してるわけだから、気持ちよくなる言い回しだなと思う。私はクラリスというキャラクターの描き方が好きだったみたい。
ウィキペディア程度の情報で申し訳ないんだが、アガサは実際に失踪していたことがある。今回はその期間の話ということなのだろう。ラスト警察に保護されるというのは、失踪していた人間を保護するということだ。
マーティズは考古学者であるから、彼女の二人目の夫に当たるのだろう。これもまたウィキペディア程度の情報だけど、アガサの言う「男はみんな一目惚れと言うのよ」はアガサの死後二番目の夫たるマーティズも愛人と結婚することに対する皮肉かな。

ストーリーそのもののというには少し違うかもしれないがシンシアの辛辣なあだ名のくだりが苦手だ。単純に、「悪口」という演出として受け取ればいいのだろうけど、悪口を言われても仕方がないようなキャラクターたちだし。だがその悪口の「感じ」があまり好ましくはなかった。
例えば松田氏であればと期待する客の気持ちとこの作品はだいぶ乖離してると思う。彼が──つまり、マーティズが──大切なところを担っているのはもちろんのことだけれど、気楽にコメディパートを担当していることも多い。思い悩み、狂い、憎しむような悲しむようなマシューの時と比べると、どうしてもサラッとしてしまう。まあ、この辺は私が思ったというよりも私の友人の話していた内容を聞いて「なるほどな」と思ったから記録している側面も強い。
作品に対するところでないところで気になったことといえば、私の周りでは飴を食べるごそごそとした音がしていた。これは別にこの舞台に限ったことでないけど、体感2.5次元度が薄まれば薄くなるほどペットボトルと飴率が上がる気がする。あとは、周りが男性ばかりであることに対する戸惑いもあった。イケメン舞台に慣れすぎて、男性客に囲まれることに対する恐怖が半端ではない。イケメン舞台の森へ帰ろう。

ストーリーとしては最後はみんなハッピーエンドに向かうようで、私は結構好きだ。ハッピーエンドで終われるなら、それが一番いい。例えば役者さんに対し「こういうお芝居が観たい」や「どんな風に表現するのか観たい」のようなファンとしての深い望みを持っている状態だったら上記の通り感じるのだろうと思う。私はそこまで考えてなかった。というか、何にも考えてなかった。そしてこれだけは最後に伝えたい。ヘタれてても伊万里有氏がめちゃくちゃかっこよかった。
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#観劇 #プラスゴールドフィッシュ #goldfish

*1:金魚ではクラリス、あるいはアガサ