サニーサイドアップフォーチュン

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『刀ステ暁の独眼竜』感想

最近タイトルに凝るのがめんどくなった。

 

昨年からずっと黙ってたことがある。

まあ聞かれたら答えたり、そもそも協力体制敷いてた人もいるから今更なのだけど。

 

刀ステのことだ。

舞台 『刀剣乱舞』 義伝 暁の独眼竜

 

 

ブログでは頑なに(多分だけど)伏せてきたことの一つだと思う。多分だけど。過去エントリに何書いたかなんてうっすらとしか思い出せないので、書いてたらごめんなさい感ある。

 

御察しの通り、今回は『義伝』の感想エントリになる。手放しで褒めるだけのエントリにはならないだろう。それでも良ければ、読んでくれると嬉しい。あとネタバレに考慮しないスタイルだ。

私は私の話を誰かに聞いてもらいたいから書くし、考えたいから書く。このエントリだけで終わるかどうかはわからない。ちなみに、書き始めたこの段階で全く思考はまとまっていない。エントリが終わる頃には結論が出ていることを祈る。

 

 

最初観終わった時、鼻水垂らしながら観れて良かったなと思った。私のお気に入りの刀たちが勢ぞろいして、少年漫画のような熱い戦いをしていたし、政宗様を取り巻く義に涙したからだ。

今はちょっと、これで良かったのかなと思う。

 

『虚伝』の求心力を、今私は『義伝』に感じていない。

 

まず、冗長じゃないだろうか。

あれだけ斬りまくっていた『虚伝』と比べてはいけないかもしれないが、圧倒的日常シーンの多さ。一幕とか特にそうだ。

刀が戦うためにあるものなら戦うところが見たいし、人の体を得たものであるから人らしくありたいと描くのかもしれない。

じゃあ人らしく刀があることの落とし所と『虚伝』と同じにならないために何ができるのかと言われたら、織田刀にはない仲の良さを伊達刀と細川刀に求めるのが妥当であろう。刀の身でありながら人であり、人であれるのならやりたいことがたくさんあるみたいな感じ。

それゆえの、日常シーン。

んー、やっぱ多いよね。

 

なんで伊達刀は織田刀と違って、心を持て余さないのだろうって考えてみる。

ステ本丸において刀たちは元の主の物語を心として継ぐからして、その物語をなぞるのがステの基本ストーリーなわけだけど、伊達刀は織田刀と違ってその答えを持ってるからなのか?

織田刀は「織田信長とは何者なのでしょうか」と何回も宗三に問わせたけれど、伊達刀は「政宗くんは料理が上手だったからね」「戦場の政宗様が好きってことか」でそれぞれが抱く政宗像をそれぞれが受け入れてる。

迷う必要のない心をお持ちなわけだ。

 

爽やかだだったな、『義伝』は。爽やかなSFだった。爽やか少年漫画SFは大好きだし、それ故に私は楽しいと思ったのだろう。それから刀剣乱舞が実は未来の話だっていう、近未来SF感を出してくれたのも嬉しい。

タイムリープという形でリフレイン(繰り返し)が使われたのは、前回と違って面白かった。前回は完全なる夢、宗三の見る毎夜の夢としてリフレインされていたのが、今回敵の手段の一つとしてリフレインされる。前回と違って敵が明確に設定されているからこそだし、その辺も少年漫画のようだ。

 

んー、そうか、人の身を謳歌している、元の主人の物語を受け入れ心とし、その心を持つ自分を受け入れているから人の身を謳歌でき、それが伊達刀の強さであるというなら、日常パートはいるのかもしれない。まとまらないな。

ゼロにしなければいいのかもしれない。

 

少なくとも、小夜ちゃんが見つめる強い伊達刀には、なんてことない日常だってあったはずだし。

あれは小夜の見ている伊達刀なのかもしれない。私の見ている伊達刀ではなく。

ああ、でも小夜ちゃんの目のないところで、大倶利伽羅は心を持て余していた。政宗様の妄執である黒甲冑を斬れず、鶴丸を危険に晒す。小夜ちゃんには強く見える伊達刀も、実は心を持て余してる感じあるね。

 

三日月の不穏さや、その不穏さを感じているであろう鶴丸の剣呑さは、多分日常のさなかだからこそ光る。で、あれば日常パートはゼロはダメだね。でもやっぱり長いと感じてしまったから、削ったりしてほしいところではあったかも。

 

だって私が一番泣いたの、政宗様が正気に戻るところと死ぬところと、小夜と山姥切の手合わせだからね。

 

政宗様が、人間キャストの皆さんがすごく良かったと思う。

政宗様かっこよすぎるんだよなあ。もう政宗様オンステージで一本できると思う。政宗様が自分の妄執に囚われて、自分の妄執を許して、そして斬って行く話。あんなにさくさく自分の妄執を「見果てぬ夢」と切り捨てずに、ねっとりと描くことができてもっと泣けたと思う。

 

あーなんかここまで書いて少しわかったかもしれない。

私は、多分今回の『義伝』のストーリーであれば、末満さんに書いて欲しくなかった。毛利さんに書いて欲しかったのかもしれない。

今これを書いていて二回ほど社中の舞台を例えに使おうと思った。違う人が作った舞台に対して失礼極まりないと思ったからやめたけど。

近未来SFのくだりで『アマテラス』、政宗様のくだりで『リチャード3世』……。

末満さんはもっとめんどくさい男とめんどくさい男とめんどくさい女の話がきっと私の中で書いて欲しいと思う傾向の一つで、言うなればロストスモールワールドなわけだけど、そこにはきっと不条理を受け入れて生きて行く強さがあったからで、

毛利さんに爽やかな話を作って欲しいと思うのはたぶん、あの人が書く作品はどんな不条理にも歯向かっていける強さがあるからだと思う。

私の中での印象の話。ただのポエムになっていて申し訳ないところではあるのだけれど。

 

感想をフォロワーさんと言い合ってた時に、その人がこう言った。

ラノベの二巻だなあと思いました

 わかりみがある〜〜。説明回が面白くないのは説明するための回であるからで、そこには初回にあった「売れるかどうかはどうでもいいんですけどこれが書きたい!」という熱意と勢いがないからで。で、それは大概、二巻にやって来る。

物語る三日月のモノローグ、みなが繰り返し観客に伝える設定と約束、新たに提示される今後の要、説明回の『義伝』というわけか。

 

良かったところも書こう。

 

二幕の山姥切すごく良かった。小夜もすごく良かった。でも二人を見に行ってる身としてはそんなに旨味を感じないのはたぶん、最終決戦の場において二人がいないからで、二人が戦うのは新たなる設定でも解釈でもなく己自身。その辺すごく、『虚伝』と近しい気がするな。

二人が二人だけで板の上にいる時間が長く、二人が二人だけで身の内に秘めたるものを二人で乗り越えて行く。めんどくさい二人の、二人だけがわかる世界ってところ、これだ〜〜これが観たかった。私は、あなたの手で生み出されたこれが観たかった!

二人のお芝居もとてもいい。一幕の、なんだか成長してしまってウジウジしなくなった代わりにやる気が空回りする山姥切も、老婆心と贔屓目ながらとても可愛いのだが、二幕の小夜を案じる気持ちがすっかり馴染んだ山姥切のお芝居が好きだ。

小夜は本当に、庇護欲をそそる。斎藤さんはどこに行ったんだ。小夜が泣きそうな目で山姥切に何度も向かって行くところ、そうしなければ折り合いを付けれないという点においてあまりにも切なかったし、それを己だと認めなければならない小夜の葛藤が辛かった。

グッズの屏風、せっかく二人で板の上に立つ時間が長いのだからと思って並べたけれど、寺みたいでやっぱり畳んだよ。ごめん。

思えば、二人が刃を交えるのは、『Give me the power』から二回目? あの時沖田さんは迷う役で、斎藤さんはその迷いを断ち切り、今回山姥切は小夜ちゃんの迷いを受け止める役でって考えると、胸が熱い。

 

倶利伽羅、あまりにも理想的な大倶利伽羅すぎてどうしたらいいかわからなかった。

私は大倶利伽羅の魅力を、その主人公力の高さだと思っていて、彼の主人公力っていうのは山姥切とは別方向のやつだ。

山姥切はジャンプの主人公。大倶利伽羅ガンダムの主人公みたいな。抽象的だろうか。受ける印象の違いだ。同じ未熟でも、成長の未熟ではなく弱点として捉えるような。

彼が馴れ合わないところをもっと掘り下げで欲しかった。伊達刀が政宗様のあり方をそれぞれ継いでいるのであれば、大倶利伽羅が馴れ合う必要がないのかもしれなくて、つまりは他の刀が大倶利伽羅のぶんも馴れ合うってことだけど、もっともっと掘り下げて、もっと歌仙と揉めて欲しかった。虚伝かよ。

何度も言うけど、こじれたところが見たいんだと思う。大倶利伽羅のスモールワールドが、鶴丸光忠が伊達を去ったことでロストしたことや(ピクシブ?)、それが本丸に集うことでまたスモールワールドの様相を呈して行くことに怯えるとか(ピクシブ?)、せっかく伊達に細川にとなるのだからやってほしいことはたくさんあった。

 

鶴丸の美味しい役どころ、ぜひネタバレ無しで見て「ピクシブで八万回見た〜〜」と私と一緒に言って欲しい。(ネタバレに考慮しないのではなかったか)

鶴丸は今回、みんなを俯瞰して見ているというか、三日月を牽制して見せたり、ちょっと大人な立ち位置だった。そこにぶち込まれた大倶利伽羅との馴れ合い方が、年長者、伊達みんなのいくさの師匠(妄想)感あって劇場でなかったらきっと変な声を出していたと思う。鶴丸は美味しい感じある作品に仕上がっていた。

2Pカラーについてはピクシブで八万回は見たが、今までで一番テンション上がる2Pカラーだったことは言うまでもない。鶴丸のあの行動が、政宗様の小十郎に対する義を(あるいは細川忠興に対する義を)継いだものなのだとしたら、己の物語を曖昧だと言う鶴丸の性質もまた伊達の系譜のなかにある。

 

今回絶妙にジャンプ臭がするのは、黒甲冑の月牙天衝(俺自身が月牙になることだ)や、謎の伊達組合体技があるからだと思うんだが、あれどうなんだろうね。好き嫌いの分かれる殺陣かな。

余談だが「これは迷いを振り切った山姥切と小夜ちゃんが時空を切り裂いて助けに来たりするかな?」と思ったらそんな都合のいいことはなかったし、鶴丸は黒甲冑を鶴丸パワーで押し込めたりする王道展開で、「やっぱそうなる?」と思った。

刀剣乱舞の自由度が高すぎて、ピクシブなどに生息している人たちのことを考えながら作らないといけないんだろうな。全方位カバー型(8振り全組み合わせ手合わせトレブロ)のグッズを見ても思った。

 

うちは、うち本丸は歌仙が初期刀だ。

んんんん最高。圧倒的キャスティングの勝利。綺麗で不器用な歌仙そのもの。ありがとうキャスティングした人。

最後の三日月の謎の舞で膝で拍子を取る歌仙の横顔に、春琴を見た気がした。

貞ちゃんも可愛い。光忠や山姥切、大倶利伽羅と並んだ時に「あれ? こんなに小さかったっけ?」と思った。それは斎藤一であった彼が大きく見えていたのかもしれないし、太鼓鐘である彼が小さく見えているのかもしれない。

太鼓鐘に闇はないのであろうか。

 

何度も言うけど政宗様だよ、政宗様。板の上にいるトキ並ぶの三回くらいなもので、トキ感皆無でありながら、客席登場などで富田節出ているし、あと何よりかっこいい。本当に。

やっぱり色気があって、そして存在感がある。この人が板の上にいるときに、この人を見る以外に選べないくらい。と私は思った。好きだから。

結局、翔さん演じる伊達政宗がとても魅力的だったからこそ、政宗様の物語で泣いたのだと思うし、政宗様のことばかり想うのだと思う。私は今回の政宗様のあり方に、自分で妄執に別れを告げたあのあり方に不満はないし、そうであるからこその小十郎との義であり、政宗様自身の暁であったと思うけれど、刀剣男士を見たいと思って入っている人はどう思ったのだろう。

 

どうでも良いが、元の主人と遭遇するときは決まって森の中なの、トリップ夢感あって好きである。

 

ああでも、生きろと言う話だったね。

死なすためでなく、生かせる戦いだったね。

まぁたメサイアを引き合いに出すけど、これもまた暁だね。これは暁を越える話だ。夜明け前なのに全然暗く無かったけど。

 

あとびっくりした話といえば、すごく踊るので「?」となる。レオと凛月がいるので、予行演習だと思うと心にグッと来るものがあるよ。

 

個人的には前の舞台セットの方が好きだ。古めかしく、単純であり、そのぶん丁寧に作られたあの階段が好きだ。今回、くるくるくるくるセットが入れ替わって嫌だった。映像やセットじゃなくて、お芝居で見せていたあの空間が好きだったのであって、今回もその空気感が少しは残ってて欲しかったんだと思う。

ライティングはコミカルだったり、ライブのようだったり、綺麗だった。

 

あぁ、そうか。『お芝居』を観ていると言う感覚が薄かったんだな。

ショーみたいだったんだ。

 

結果として泣いている私は、やっぱりどうあがいてもこの作品が好きだったのだろう。

キャラクターの可愛さや、関係性の感じられ方はとても好きであった。伊達刀も細川刀も私は大好きな刀だ。

だからこそ、この説明回においてねっとり掘り下げられないのが切なかった。爽やかなのが解釈違いなのではなくて、説明のための長尺を確保するために使われてしまったみたいなのが嫌だったんだと思う。

 

再演しよう再演。初めから闇が薄い暁ではなくて、闇を振り切る暁のような再演をしよう。

 

今にして思えば、初演『虚伝』も楽終わったくらいの時は今と同じようなことを言っていた。そしてBlu-rayリリース後、有る事無い事言いながら観る回数を重ねる毎に味わい深くなっていって、結果的に再演でめちゃめちゃに泣いていたわけだし、『義伝』もちょっとくらい劇場でワタワタしながら観たくらいじゃその良さはわかって来ない気がする。回数が足りなかったのかもしれない。

Blu-rayリリース後にまた有る事無い事言いながら観て、再演でまたしても世界線がズレようものならもう語りまくりな気もするけど、どうだろう。(もしそこに彼がいなかったらそれまでかもしれないが)

 

だいぶ長くなってきた。もう疲れたから終わろうと思う。

ぐちゃぐちゃですみませんでした。

 

全くもって私の主観が撒き散らされております本当にごめんなさい。

あと「舞台」のグループに参加してみました。あんまり調べないうちに入ってしまったのだけれど、ぱっと見同じ界隈っぽい人もいたので許して欲しい。

あまりにも2.5に侵食されているように見える時は潔くグループから抜けるつもりで、舞台感想のカテゴリだけ参加させてもらいます。

 

今回のインスタ画像