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映画『ビューティフル・ボーイ』感想

信じられる?薬物の過剰摂取は50歳以下のアメリカ人の死因第一位だなんて。


映画『ビューティフル・ボーイ』日本オリジナル本予告 4/12(金)公開【WEB】

なお、お察しに通りこちらも入野自由くんが吹き替えを担当しておられる。

 

映画そのものの話

あまりにも辛い。

この映画はまったく救われない話だ。それがドラッグってものであり、ドラッグから抜け出そうとするということなんだと思うけど。例えば映画って、エンターテイメントとしての映画なら、最後は見事に克服して超ハッピーエンド人生成功した上に教訓を伝えますみたいな感じになるのが普通なのかなと思ってたんだけど、この作品はそうならない。何度もニックは立ち直りかけては再発し、やっとの思いで“シラフ”を保ってる。

簡単な話じゃない、簡単じゃない。当事者が苦しいのはもちろんだけど、家族だって苦しい。そういうことが胸に迫る話だった。

シェフ一家の住む家が美しい。緑の中にあって、インテリア全部がシンプルで洒落ていて、木漏れ日がたくさん。光の使い方がなんかとても印象に残っていて、ハイになってるニックが見るライトは眩しすぎるくらいで、同じようにトイレで注射するニックの腕とドラッグばっかりが明るい。ニックが弟妹と過ごす時間は光の中にあって、水しぶきでキラキラと輝いていたはずなのに、シェフ家に盗みに入ったニックが日光の下を逃げて行くのに反して弟妹は薄暗い家に取り残される。同じ光なのに象徴するものが全然違うのだ。

カレン(義母)が逃げるニックの車を追うときに、だんだんと堪えきれなくなって涙を流すシーンでめちゃくちゃに泣いた。息子のはずなのに犯人を追いかけるみたいな顔で、息子のはずなのに家族を狂わせる元凶みたいな存在になっちゃって。

ともかく、これはお父さんの視点が主であるからして、お父さんの美しい思い出の回想が特に何の前触れもなしに今のニックにオーバーラップしてめちゃくちゃ時系列が分かりづらい*1が、お父さんのまとまりきらない感情と記憶の濁流っぽくて慣れると良い感じ。最初の15分くらいでばばばばっと離婚して(夫婦としては噛み合ってないのとか)再婚して(義母にもちゃんと愛されてたりとか)そういうところが全部示されるのが前提として分かりやすい。あと単純にめっちゃくちゃ芝居がうまいんだってことはわかる、吹き替えでも。

アメリカという国、お父さんとニックが「葉っぱ」について話すシーンとかから思うのだけど、そんなにドラッグが一般的で、誰しもが経験するあまりにもありふれたことの一つな訳?

それとも私がクリーンすぎるの?どっちかな。

 

自由くんの話

ニックはエリオよりやさぐれた少年であるため、だいぶぶっきらぼうな喋り方だった。良いね。そんな君も大好きだよ。嫌いな君を見つける方が大変だけどね。

序盤の方に出てくる「なにそれ」ってセリフの言い方が完璧で、どう完璧だったかって言うと苛立ってるようなけど別に喧嘩にしたいわけじゃないけど鬱屈とした十代の「なにそれ」だった。映画はこういう、一言セリフがあってそれがまた良いのだ、というのはここ数日の学びだ。

怒鳴る声と泣き声と、弟妹と遊ぶ楽しい声が沢山聞ける。でも私と同じように入野自由くんのファンならどうかエンドロールまで観て。

どうかエンドロールの最後まで観て、詩の朗読*2を聴いて。これが素晴らしい。せめてここだけでも観て。

*1:むかしエウレカセブンの映画でも同じこと書いた気がするね。

*2:ティモシー自身の朗読も素晴らしい。