サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

『永遠に僕のもの』『残穢』『イット・フォローズ』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』『ハンガーゲーム』

観た映画の感想。今回はおすすめしてもらった映画など、2、3週間分一気に記録。

 

『永遠に僕のもの』

カルリートスのことみんな好きになっちゃう。私はアイドルが好きなんだけど、それはなんていうかアイドルがどうやったら自分が魅力的に見えるかとかわかってるからっていうことなのもある。

そういうわけでカルリートスは「自分が可愛い」ってことをはっきりわかってる。その上で、自分の好きなものが自分から離れていくことは許さないし、パパとママも、ラモンのことも好きだけど、罪も犯す。そういう全くもって意味不明の犯罪者の思想が可愛い顔の裏側にあるので、観てる人はそういうギャップを好きになっちゃう。彼自身のことは全然意味不明だけど。

スタイリングがまた良い。カルリートスがずっと可愛い服着てるし、双子の服も可愛い。インテリアも可愛い。

何にせよ、ミゲルのことはぜーんぜん好きじゃなかったっていうのがね。もうありありと伝わってくる。それから終わりはラモンの家という、自分で殺すということと同じくらいの執着を感じるエンディングが好きだった。

 

残穢─住んではいけない部屋─』

やっと映画見たよ。

何が恐ろしいってCGがとんでも無くチープなところだと思うんだけども、「この時代にそのCGで映画としてお出しします?」という恐怖の先にある話が本当に怖い。そして面白い。あと出てくる人もみんな普通に話してるみたいで良い。

怪異が連鎖し、怪談が怪談を呼び、虚妄とも言えるような(そして憚られるような)ことが連鎖していくのだけど、本よりもだいぶ人物や時系列をいじったのかすっきりしている印象を感じたが、ラストの「これからも怪異は続く……」と言わんばかり畳み掛け──というか、編集者さんの受難はなくても良かった気がする。

ラストにかけてはかつてのほん怖のようなキレのある怖さというよりはジワジワ怖いタイプで、私は幽霊屋敷が好きなので非常に好みだったぶん、ラストがな……。

ともかくとして、ラストに差し掛かるまではジワジワ怖く、ジワジワ後味が悪い。私はこの話の構造がとても好きである。

 

『イット・フォローズ』

マッケイラ*1だ。

音楽がめちゃくちゃ怖い。直接的に怖い見た目のもの(この辺は個々人の限度の問題)が襲ってくるわけではないのだが、音楽が怖いので雰囲気が怖い。

湖のシーンがめちゃくちゃよい。後ろから近づいてくるのがヤラかと思ったら、ヤラがポール越しに湖で遊んでるのが見える。それがすごい怖い。

子どもたち、とまでは言わないにしろ名前のある登場人物が若く不安定なので、若いからこその不安定さや性を大人に語ることの難しさが、より事態を閉塞的な方向へ向かわせているし、だからこそ「それ」を乗り越えることに成功しているとも言える。いろいろ子どもたちだけで暴れまわってるのにも関わらず、大人が干渉してきて話が拗れないという点で。

メタファーがどうとかあまりそういう事を考えるのは得意ではないが、つまりは性愛に伴う責任であったり、不特定多数の相手と関係を結ぶことであったり、親の庇護下から外に出て大人になるということだったり、生の先にある死だったり。思春期の中にあるそういう漠然とした不安感そのものや他者への不信感なのだと思う。

「それ」が生者と区別のつかない姿をしているが故に、今そこにあるのかもういないのか、誰にも区別がつかないことがまた良かった。

完全に好きでしたね。これからも二人の幸せのために頑張ろうなポール。

 

ここまで三つ、お勧めしてもらった映画でした。良かったです、完全に好きなタイプでした。ありがとうございました。

ここから下はお勧めしてもらったわけではない映画。

 

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

なんかATEEZのコンセプトに関係があると考察したオタクがいるとかで、KPOP好きの友人が観たいと言っていたため、一緒に観た。

子どもたち主題のアドベンチャーで面白かった。やはりそういう、子どもたち特有の結束感や幼さ、可愛らしさを最大に活かしてアドベンチャーする映画は気分*2がいい。

適度なチープさ、適度なアニメーションさが心地よいなと思った。やはりティムバートンと言えばストップモーションの世代の人間である。

完全にエンタメ振りした映画のため、テーマ性がどうとか芸術性がどうとかいうよりは楽しいか楽しくないかだと思う。わたしは楽しかった。一緒に観てた友達も楽しんでた。東京をどうしても出したいという心意気を感じたが、東京である必要はないと思われる。日本人ならそこでもクスッとなる。

あとは随所にこれを観る前に観たコンセプトティザーを感じてふふふ*3ってなった。

 

『ハンガーゲームFINAL:レジスタンス』

一作目からピータ派*4のわたし、ピータがキャピタルに囚われてる現状がとても辛い。どんどんやつれていくピータがかわいそう。ゲイルとじゃゲームの苦しみも祭り上げられる辛さも分かり合えないし、カットニスがピータをあまりにも心配するからゲイルがヤンデレになりつつある。

カットニスがどんどん自分の意志と乖離して戦争の旗印に祭り上げられていくことの切なさはもちろんあるのだけど、またどの大人も信頼できないターンに入ってしまったなと思う。もっと頻繁にエフィとヘイミッチに会わせてくれ。

プロパガンダ合戦描写からの開戦は、今までの階級社会の不条理と戦うカットニスというよりかはもう戦争映画って感じだった。

 

『ハンガーゲームFINAL:レボリューション』

戦争は愚かである、ということはよくわかる。スノー大統領が元凶っていうのはわかるんだけども体制や仕組み、歴史ではなく一人を元凶とする話の構造はそれで良いのかと思わないでもない。これはコイン首相についても言えることで、確かにコイン首相の目論見はスノー大統領と同じようなことであるので、物語として退場すべきであることはわかるが、最後までカットニスは他の人の意見に影響されているようにも見える。

扇動とイメージ戦略がものをいうシリーズなので、ここでもまたずっと映像がどう、プロパガンダがどうという話をしている。このシリーズ、一貫して大衆は愚なので、そんなに容易く操作されて(もしくは意見の多様性を度外視されて)大丈夫なのか?という気持ちにもなる。

絶対に敵を討ち果たして終わりだと分かっているのにもかかわらず、ヒヤヒヤする映像と展開が続き疲労がすごい。けれど最後、ステレオタイプ的とも言えるが望まれる普遍的な幸せの映像が流れて、疲れた頭なので「良かったねカットニス、ピータ……」という感情になる。授かり、産まれ、育つ。その程度の年月が平和に過ぎていることが大事だ。

なによりピータが元気になって本当によかったです。

フィニックとアニーの結婚式はあまりにもベタすぎるフラグで見てるうちに悲しくなって来たことは多分忘れないが。

ひとまずとして、これで4作品を完走した。やり切ったという達成感が心地よい。

*1:主演のマイカ・モンローはホットサマーナイツでマッケイラというヒロインを演じていた。

*2:ティム・バートンなのでフリークス具合は個人の限度によるが。

*3:観終わった後、二人で歌って踊るなどした。

*4:カットニスとピータとゲイルの三角関係がずっと描かれている。