夜明けの星を待ってる

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『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』感想

ネタバレあり

『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』

30分しか尺がないと聞いていたので覚悟していたが、やはり唐突である。

不死身の戦士として結構な強敵であるはずのバハトが一体どういう状況で封印を解かれて、どういう目的で飛羽真たちの前に立ちはだかるに至ったのかが全くの不明のため、何が起こっているのかよくわからないまま話が進み、そしてまた封印されている。そもそもその必要な情報の類はすべてタッセルが冒頭で説明してくれるのだが、飛羽真たちはバハトがどういう存在であるとか調べたうえで倒しに来てるのだろうか。せめてソフィアが教えてくれていることを祈るばかりである。

というわけで話は唐突で、私がなにか配信コンテンツを見逃しているのか、もしくは本編に追いつけていないことが悪いのかと悩んだけれど、ビジュアルはとても良い。

VFXを多用する派手な戦闘、そして本物の炎。せめてあと30分あったら、バハトがなんでわざわざ世界を滅亡させたいのか、そもそも突然起きたこの騒動の原因は誰なのかを自覚して戦いに挑めたのになと思う。コロナが憎い。

最前線で戦う仮面ライダーというヒーローを、今この世界で最前線で疫病と戦う人たちを重ねた、応援のための作品という感じでセイバーとファルシオンの戦いそのものは熱く感じた。

 

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』

こちらは完全に夏映画なわけだけど、圧倒的に尺が足りなくてコロナが憎い。なんにせよ、熱く楽しい作品に仕上がっていて良かったと思う。

本来であればストーリーを順を追って説明(描写とも言う)できたであろうに、尺がないため或人くんが戦場に赴くまでが省かれ、イズが破壊前のイズなのかゼアなのかわからない存在から以前のデータを渡されるがそれが説明されることもなく、エスが世界の滅亡に用いたテクノロジーについて説明されることもなく、節々唐突な印象が否めない。

が、そんなことどうでもよくなる熱さがある。特に同時変身はいずれのシーンも最高であると思う。或人くんがイズと一緒に戦うということは、或人くんの「バックアップのないイズをわざわざ元の見た目で復元させ、自分の庇護下に置いている」というマッドな行為を、イズ自身が吹っ飛ばすようであった。これまでのイズではないが、イズはイズであり、或人くんの秘書であると示すようだった。イズがそう成長したのであろうということが察せられるわけだけど、或人くんもおそらくはそのイズの姿に、旧イズとの同一視をやめたのであろうと察せられる*1。そもそもイズが変身する、というのはやはり、女性視聴者としてはぐっとくるものがある。イズはずっと守られていたし、或人くんはそうであってほしいと思っていた。その関係性に対して何かを投げかけたいのではない。単純に「女性の形をしたもの」が変身をするということに、私が嬉しくなるというだけだ。それが「正しさ」かどうかはどうでも良くて、つまり私の中にある共感なのだと思う。美空ちゃんが「一緒に戦える」と笑って見せた事を思い出す。

或人くんがイズを抱き起こすシーンなどはテレビシリーズと完全な対比になっていて、お幸せに〜という気持ちだ。今回の映画、本当に或人くんとイズのシーンは「これだよこれ」感がすごく、今この感想を書きながらTwitterで検索しても割とそういう風に受け止められているので笑ってしまう。

亡と雷も変身してほしかったけど、戦闘向き*2じゃないのかな。5人での変身もめちゃくちゃかっこよかった。それぞれが別々の職場で働いている以上、いろいろ臨機応変に組み合わせを変えて戦っているのも面白い。

人間であろうがヒューマギアであろうが、並び立ち共闘する。それは世界を救うヒーローとしてであり、私たちが仮面ライダーというヒーローに求める振る舞いがそこにはあったと思う。お仕事そのものを主軸にするというより、今回のように日々の生活に対して閉塞感を抱いている人たちがいて、彼らの生活に対してテクノロジーがはけ口になるという悪意ある使い方と、或人くんの言うような共に生きるために力を貸す在り方とが対比するくらいが、たぶん映画で扱うテーマの塩梅としてよかったのではないかと思う。「仕事」の要素は今回目立たなかったけども……。

個人的にはエスの行ってきた「人格情報のデータ化」と「身体のナノマシン化」はエグゼイドっぽさがあり、懐かしくもあったので「人格情報がデータ化されたとしてそれは同一の個人として定義できるのか」という疑問はまあいいかなと思った。

このエスの造形というか、親玉と見せかけて、単純にそうではないところ、1時間という短い尺でとても魅力的な登場人物になっておりすごくよかったと思う。何考えてるかわからない感じもあるし、なにぶん尺不足だけど、彼の背景は割としっかり描いてあって良かった。

或人くん自身、苦しむお芝居の上手さが際立つからか、今回もとりあえずボッコボコにされたり自己犠牲に走らされたりと非常に痛そう。ヘルに変身するところとかは「えっ!?絶対に事態が好転しないのになぜ!?」と思った。ただやっぱり彼がそういう苦しむお芝居が魅力的に演じられてしまうので、これからも苦しむことになるんだと思う。

飛電インテリジェンスに或人くんが戻るのもよかったけど、飛電製作所みたいな企業で旧滅亡迅雷.netと旧AIMS、旧ZAIAを雇用して新しい夢を追うエンドも観たかったなあ。福添さんからのお祝いみたいな感じで新しいイズが派遣されてきたりね。それか、みんな飛電インテリジェンスに転職してきたり、なんにせよみんなが同じ職場で働いているところも観たかった。

今後小説とかでアズが暗躍するのかなあ。

 

*1:しっかりとした説明はないので私の希望的観測だけど、或人くんの「俺が間違っていた」というセリフはなんとなくそう聞こえる。

*2:スーツまだあるのかな。スケジュールの問題かな。