サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

映画『閃光のハサウェイ』

私のガンダム偏差値→アムロ・レイが主人公であるということ、とシャア・アズナブルの本名がキャスバル兄さん、ララァ・スンアムロのことを殴った人ブライトさん。

この程度のガンダム知識で映画を観ちゃおうというところが私の適当さであるが、面白かったです。まあ友達に誘われたのでね!

私は伊藤計劃作品が好きなので、映画に色々思うところはあるんですが「御冷ミァハ」に関してはすごい良かったと思っていて、つまり「ギギ・アンダルシア〜〜〜」という気持ちで見ていたし、観終わった後で監督の名前*1を見て「ラヴィス・シェパード大尉〜〜〜」となった。何にも調べずに映画に行くな。ギギのセクシーなんだけど何も知らない少女のようで、でも頭はすごく良くて、誰かに頼らなければ生きていけなくて、という造形がすごい。こういうひとが壊していくんだよな。

なんというか、会話の湿度が良かったし、キャラクターがスタンプのようにあるのではなくちゃんと感情を揺らしてるのが良かったし、「言葉が人を殺すこともある」とか「私に対するサービスのセリフ?」みたいな気持ち。

で、この主人公ハサウェイがアムロを殴ったブライトさんの息子さんだということが会話からわかるのだけど、彼の感情の複雑さがいいなと思った。そんなに父親に対して何かコンプレックスを抱いている印象は受けなかったが、それよりもシャアの起こした反乱*2でたくさんの人が死んで行ったことに重度の負い目を抱えているみたいに見えたけどどうなんでしょう。それがどうマフティーとしての活動に結びつくのかよくわかんないけど、私の理解力がなくてごめんなさいね。少なくとも、地球への滞在を「許される」立場にある裕福かつ相応の身分のある人たちが特権的に地球に暮らすこと*3への反感がハサウェイがマフティーとして活動することの理由の一つとしてあって、全ての人類が平等に地球から去れば結果的に地球環境も救われるよね、ということだろうか。

で、このハサウェイの感情の揺れだが、ハサウェイ的にはとても意義のある上記のような大義であっても、ギギの目から見ればテロリズムであり、タクシーの運転手さんのような一般人からしたら高尚な理論を振りかざすだけのものでしかなく、それに対してハサウェイが気分を害すのがいい。ケネスとの会話ではそのように害されることもなく、理念に共感されるだけでなくて自分のことが気づかれるだろうというところまで共感しているのがまた可哀想というか。この二人、最後まで殺し合う*4んだろうから。あんまり違う考えを持つ他者と触れ合ってこなかったのかな、彼は。なんかそんな感じがしますね。理想を通して見る人類と、生活のある他者がやっと結びついた感じ*5。今更迷っても、マフティーがやってきたことを後悔してももうどうにも遅いし、ハサウェイは最初に信じたことを正しいと考えて突き進む*6しかない。そうでないと全ての犠牲が無意味になってしまうから……。

すごくこの登場人物の会話劇が良かった。エモーショナルさに頼ることなく、ウェットで機智に富んだ、思想や立場が違う人が交わす多分一生相容れない会話をしている。私はケネスよりハサウェイの方が好きだな。ハサウェイはまだ若くて沢山いろんなこと考えているけど、ケネスはもうこれ以上考えないのだろうし、ギギも含めて全て打算的に利用*7していく人間なんだろうという感じがしたので。

私はハサウェイの全てを壊す女ギギと、真面目で青臭いレーン*8が好きです。レーン可愛くないですか?お前は地球連邦の柱になれ……。

 

あとモビルスーツが戦うところが本当にかっこよかった。ガンダムのデザインはどちらもとんでもないデザインだと思ったが、重量感を感じる飛行の描写も、市街地に出る被害も、ガンダム同士の戦闘もすごくかっこよかった。ただガンダム同士の戦闘はちょっと暗い!もっと明るいところで見たかった。夜でも明けさせてしまえば良かったのにと思うのは、私の中にあるガンダムマイスターの心かな。

 

用語はなんかわかんなかったです!!

*1:村瀬修功

*2:なんかあったんでしょう。映画に連れてきてくれた友達には「逆襲のシャア」を観るように言われています。

*3:ハサウェイの言う例外規定とはこのことで合ってる?

*4:比喩。

*5:これはなんか調べたらそうやって言ってる人もいた。

*6:すごい死にそうな人だよね、って友達に言ったら意味深な笑みを返された。

*7:口説き方もあけすけだし。

*8:なんか死にそうな気もしますが……。この映画全体的にみんな死ぬか隠遁生活か行方不明になりそうな気がして……。