サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『Lovely Writer Special episode』『ザ・ハイスクール ヒーローズ』『ブライトンビーチ回顧録』

ドラマと舞台

Lovely Writer Special episode

youtu.be

最終回から2年が経ち*1、関係性にも落ち着きが見え始めたNubsibとGeneが、遠慮や仕事といった生活に関わる問題についてちゃんと話し合おうということにテーマを絞って描いてるという印象。スペシャルエピソードらしくリゾートでのロケが中心だから景色も綺麗で良かった。

ダークファンタジーを書きたかったGeneが書きたいものに取り組めてる*2のもちゃんと先に繋がってるというのがわかって良かったと思う。

スペエピはSibがスタッフ一丸となってGeneに仕掛けたサプライズを、ロケ中に気づいたGeneによってスタッフを巻き込んだ形でひっくり返すというのが事件として用意されている。これがかなり無理があるというか、Geneはロケに出て初めて「これがドッキリなんだ」と知ったのに、それからSibの目をかいくぐって逆ドッキリに打って出るのはあまりにも時間が足りない様に思う。

まあそんな野暮なことを気にせず楽しんだら良い。スペエピなんだから……。

Sibの誕生日会のホームビデオと、最後の二人のシーンでGeneが父親から受け継いだブレスレットをSibに渡すのが良い。父親のかつての恋愛を成仏させるという意味でも、普段愛情表現をそれほどしないGeneが重い意味を持つそのブレスレットを渡すという意味でも、とても良いシーンだなと感じた。

 

ザ・ハイスクール ヒーローズ

30分だと思ったら1時間あってびっくりする。

話の構成としては前半の事件パートがあり、後半は謎解きパートに移る。戦隊モチーフではあるけど、これはかなり仮面ライダーに寄った脚本の流れの様に思う。書いているのは高橋悠也だし。

主人公・真中大成は妄想から産んでしまった(?)アカレンジャーと会話したり、ヒーローという存在を全く疑わない。これが昨今東映が頻繁に発信する「みんなが信じればヒーローはそこにいる」というヒーロー側が視聴者を認識するメタ的な描き方に近いように感じていた。しかも戦隊なので肝心の戦闘シーンというのは顔が隠れる。私は「戦隊」と思って見始めていたので良かったが、 少年さんのファンにとってはこういう東映特撮っぽさってどう見えるのだろうと若干不安にもなった。受け入れられてたっぽいからよかった。

私はこの「おもちゃを売らなくて良いのでノルマ的な戦闘が一切発生しない戦隊ドラマ」をとても楽しんで最後まで見た。まだまだ掘り下げる余地があると思うので、映画とかスペシャルとかで観たいなと思った。

 

ブライトンビーチ回顧録

結局のところ、全て破綻することなく家族関係が維持される物語であるため、家族制度に対して何か大いなる疑問と意見を持っている場合のこの作品への感情というのはだいぶ変わってくるのではないかと思う。が、私としては制度に関していかんとすべきというような持論も特になく、むしろそれぞれの中で落とし所を見つけた上で少しユージンが成長したので、彼の家庭(の人間)環境としては決して悪くないと思った。ただ、優先順位が謎ではあるが。

庇護する姉一家と庇護される妹一家は、あくまで妹一家はお客様として優先されており、全ての面倒を被り大変な目にあうのは姉一家である。というか父である。妹一家が好意に甘えて居候しっぱなしという時点で、私の妹一家への好感度はただ下りである。作劇として損な役回りだとは思う。

私は姉なので、作中出てくる姉たちの訴える辛さというのは「私」に置き換えて考えてしまうところがあり精神的に辛い。単純に、経験したことのあるなしとかではない、「姉」というどうしようもない立場に関する同情が凄まじく、とてもじゃないが妹の言い分に対してひとりの成人として寄り添える状態ではなかった。が、庇護する立場・我慢する立場の姉と、甘やかされ無条件に優先される妹というケイト・ブランチ姉妹もといノーラ・ローリー姉妹の問題は、兄弟関係において大きな問題のないスタンリー・ユージン兄弟には当てはまらずただひたすら可愛い問答をしている。

兄スタンリーと弟ユージンの関係は本当に可愛い。ユージンは兄のこと大好きだし、それを隠してない感じもまたいい。二人とも声が年齢のわりに高いため、14歳と19歳の兄弟に聞こえて来る。

私は入野自由のファンなのでスタンリーの話をするが、まあまあおバカのこの兄のこと、私はやや疑ってしまうところもある。作中、主義のために黒人労働者を庇い失職しかけたり、給与を増やそうとポーカーで全額擦って、家出して陸軍に入ると言い出したりするのだが、多分こいつはまたやらかすと思った。家を出たところで反省はしているはずだが、友達からポルノ写真を強奪し、ボーリングのピン立ての仕事をし、陸軍の入隊試験を受け……とかなり盛りだくさんで、本当にちゃんと入隊試験受けに行きましたか?という気持ちもある。それはそれとしてスタンリーが気の良い兄であることは間違いなく、ユージンはわずかな貯金を巻き上げられたとしても、ポルノ写真を持って帰って来てくれたりユージンを大学生にしたいと言う兄のことが好きというのが、私的には好きです。そう、スタンリーはユージンを大学に入れたいのだ。そこも良い。

損な役回りであるブランチ一家の好きなシーンが一つあって、ノーラとブランチの喧嘩に一応の決着を見せたあと、ノーラが自室で眠る妹の前髪をそっと撫でるのが好き。姉という立場の、そのどうしようもなさが現れていると思った。

ラストシーン、ポーランドから7人の親戚が亡命して来ることになる。ジェローム一家はユダヤ人だ。『屋根の上のヴァイオリン弾き』で迫害から逃れ亡命する姿を見て、『ブライトン・ビーチ回顧録』で金銭的な苦労はあれど迫害から逃れられたことを心から喜ぶジェローム一家を見ていると、ユダヤという人たちの苦境が、なんだが全部繋がって見えた様な気がした。

ドールハウスみたいなセットも可愛かったし、役者は言わずもがな良い。ブチ切れるケイト(演 松下由紀)の迫力たるやである。特に東京楽日近くのスタンリー・ユージン兄弟は本当に良かった。自由くんがどんどんちょっと悪い兄貴になり、勝利くんがどんどん甘えたな弟になっていた。この二人の掛け合いが本当に、セリフの抑揚も勢いも素晴らしかった。

 
 
 
 
 
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*1:という設定。

*2:ホラーにしか見えなかったけど……。