サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『花郎』『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』『海賊になった貴族』『何かおかしい』

花郎

花郎』は新羅の貴族階級に青年たちによって組織された集団を元にしたドラマである。Wikipediaによると花郎の成立は576年頃だそうだ。

下記リンク参照すると、かなり浮かれたキービジュアルである一方で、

内容はネットリとした質感のドラマだなと思った。

まず花郎やヒロインたちを子世代とするなら、その親世代たちのさまざまな暴挙により、子どもたちが振り回されしなくて良い苦労をするというのが物語の基本構造である。過干渉の太后をはじめとし、元許嫁との愛憎劇を引きずるアンジも、息子を王にしようとするフィギョンも、わかりやすい黒幕のヨンシルも誰も好きになれない親世代の描き方が徹底していると思った。親たちの権力争いや愛憎を無遠慮に押し付けられた子世代が、親の期待をそのまま反映する形で役割に徹していたものが、教育によって独自の思想(風月主の思想とも言えるが)を得て自由に動けば動くほど視聴者から見てより親世代の鬱陶しさが強まる。その分花郎たちの交流であるとか、考え方はだいぶ爽やかな雰囲気だった。

ソヌ(ムミョン)の名前のない賎民から半分真骨(半分貴族)のソヌになり、最終的には聖骨(王族)へと押し上げられていく流れがまったく本人の意思と無関係な中で、はっきりと自分の立場と主君を宣言する潔さであるとか、太后の過干渉からめそめそしつつも段々抜け出ていくチヌン王であるとか、反目しつつも徐々にお互いを認めるスホとパンリュや、とにかくかわいいハンソンとか、なんかそういう登場人物への応援の気持ちで見る作品だった。

突然のアイドル演出(アイドルがたくさん出てるから)や、建物の時代感とか小物、セットなどかなり大雑把に「時代劇」にしているし、ストーリーも結構ご都合主義な感じでやや中だるみする。ただ登場人物への嫌がらせのために消費される時間も多いのでハマらない人はとことんダメなんじゃないかなとは思う。

 

鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成

まず、私はこのシリーズに全く怒れないのでその前提でいて欲しい。

とにかく、よく最後までやり切ってくれた思う。大事なところは押さえていたと思うし、エルリック兄弟は麗しい。山田涼介くんは一人で三役こなしていて、露出に耐えられる体づくりも含めて大変だったと思う。内野聖陽さんの二役も良かった。とにかく役者さんが豪華である、という楽しみ方も出来る。

前回もこなさなくちゃいけない内容は膨大だったが今回はそれ以上で、とにかく高速でサクサクと物語が進むので前作含めて「ハガレン」を嗜んだ人向けであることは変わりない。イズミ師匠やグリードなどは非常に唐突な登場で、尺的に仕方ないとは言え、前作より全体的にさらに唐突な印象がある。あとあれだけ良かったキンブリーは出てこずであるが、オリヴィエ(アームストロング少将)はかなり良かった。

ストーリーの要所は押さえていて、セリフも忠実とは言え、と「全は一、一は全」は初出しだったよね?立って歩け、前へ進め、とか、雨が降ってきたな、とか、なめるなよ、あれは私が選んだ女だ、とかも観たかったね。

 

海賊になった貴族

18世紀の大海賊時代、実在した元貴族の海賊・スティード・ボネットと、悪名高き“黒ひげ”エドワード・ティーチを主人公に据えたゆるふわロマンスコメディである。原題は『Our Flag Means Death』、その頭文字から『OFMD』という略称でファンに親しまれている。

どの辺がゆるふわかというと、先ずは歴史そのものの扱いというところだが、海賊モノで気軽に血が流れるなか、全く緊迫感がないというところもかなりゆるふわだと思った。

このドラマはこれまでの生活に危機を迎えた中年の貴族のおじさんと、これまでの生活に危機を迎えた中年の海賊のおじさんのロマンスがメインで、元カレが出てきたり、船のクルーに同性カップルがいたりノンバイナリーの乗組員がいたり、有色人種が出てきたりする物語だ。とにかく自然な流れで話題が出て、説明されれば納得して進んでいく。だがそこに動揺は一応あったりもして、何もかもがクィアに適応した世界ではない。コメディとしてもとても面白いが、そういうバランス感覚が優れた作品だったと思う。とても楽しく最後まで観た。おすすめです。

シーズン2も決定したので楽しみですね。

 

何かおかしい

雨穴さんの作風として風習や因習を利用した人間の怖さという人怖系だと思うので、全話そういう後味の悪さだ。個人的には心霊系*1の怖さを好むのでそこからちょっと趣味がずれてしまっているし、本人が出てきて怖いポイントを解説したりするために、基本的に「怖さ」はそんなに感じなかった。

こういうのってモキュメンタリーって言うのかわかんないけど、そういう作り自体は面白いと思うので、解説せず強引さを均したりしても良いんじゃないかなと思った。

花岡さんはじめとしてスタッフやパーソナリティの適当さは全然応援できる感じじゃなくて良かったと思う。

こちらもシーズン2決定ということで、楽しみにしています。

*1:感想残してないが禍話のドラマが心霊系の怖さでとても良かったので観て欲しい。