サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『覆面系ノイズ』『青い春』『鉄コン筋クリート』『ゴーストRE:BIRTH 仮面ライダースペクター』『リング』

覆面系ノイズ

まあこれもたぶんもう年齢的に響いてないだけなんかなと思う。屋上で歌うところとかイノハリの覆面コンセプトとかちょっと共感性羞恥が辛かったが、中条あやみさんの美しい目をしっかり映す画面と、頭モサモサの小関裕太さんは良かった。ただ、原作通りのビジュアルなのかもしれないが、どうせメインヒーローならもっと志尊さんをカッコ良く撮って欲しいし、磯村さんのM字バングは2017年だったとしてもやり過ぎだと思う。真野恵里菜さんとの友情が良い感じになるのかと思ったらすぐ離反したり、もうちょっと音楽の要素が強い方が見やすいな思わないでもなかったが、鎌倉のロケーションは美しいので画面は良かった。同じバンド系の話なら「サヨナラまでの30分」の方が良い。

 

青い春

不良の閉塞感と学校という居心地よさと将来と少年の暴力性にとにかくヒリヒリする。私たちはもう大人で高校生に戻れないばかりでなく、結構堅実な高校時代を送ってきたが故に、選択肢のない閉塞感*1とは距離をを置いてきたことも含めて、真似できないその突発的な衝動の格好良さを魅力的に感じてしまう。そういう映画だった。

九條と青木がね、またすごいですよこれは。青春の象徴みたいに青木が死んでいって初めて、無気力だった九條が感情を見せるわけだから、青木の本懐はこういうことなのかもしれない。青木は対等で居たいのかな、それとも九條に番長らしく居てもらってその下につきたかったのか、そういうことを考えてる。

あんまりうまく書けません、感想が。

 

鉄コン筋クリート

『青い春』続けて見てとのことだったので見た。『青い春』で出てきたヤクザの鈴木と、甲子園の夢敗れた木村が出てくる。

クロとシロはドロップアウトした子どもだけど、まだ「子ども」だったからこそ地獄みたいな閉塞感と退廃的な街から逃れることができて、大人になってしまった木村と老さらばえた鈴木は終わっていくしかないというのがつらい。

クロとシロの関係の良さもあるが、二宮和也さんと蒼井優さんのお芝居が本当に良い。映像も本当に格好良かった。

 

ゴーストRE:BIRTH 仮面ライダースペクター

マコト兄ちゃんとアラン様の熱演が光る熱い作品だった。降り注ぐ雨がエモーショナルで良いと思ったら上堀内監督だそうです。やはりエモい絵面は上堀内監督にお任せしましょう。

私はアラン様が全仮面ライダーの中で一番好きなのだが、好きなところがこの「スペクター」に詰まっていて最高だった。アラン様は本物の王子様で、理想と現実に苦悩しながらも、守るべき民の上に立つのではなく同じ目線で、不自由だけどかけがえのない人間として共に生きようと言う。あまりに貴いお方じゃないですか、アラン様。最高。めちゃくちゃ好き……。そして今回、パワーアップフォームがあり、これもとても格好良かった。マコト兄ちゃんが異常に強いため勝てはしないが、アラン様がテレビシリーズで何を学び、そして何を正しいと信じるのかが集約されていて良かった。

マコト兄ちゃんに異様に色んなものが背負わされていて可哀想だが、出生や育ちを受け入れて、自分の罪(七つの大罪)と共に戦う覚悟を決めて、「シン(sin/真)スペクター」になるという流れは胸が熱くなるものがあったし、変身後はどちらかと言えば天使の造形なのも良かった。マコト兄ちゃんは異常に強いからか、こうして度重なる試練を背負わされ続けているけれど、そのたびに自力で乗り越えている感じがキャラクターがブレなくて良い。

微妙に分かりづらい展開を序盤は感じたし、これを本編で説明しなくてよかったのかというレベルの重要情報だが、アラン様とマコト兄ちゃんのバトル含め二人の熱い想いが良かったので楽しめました。

 

リング

新作である『貞子DX』の内容が、高橋悠也が描く「貞子の呪いの動画がSNSで大拡散されたために人類が滅亡する危機に陥る」ということで、「貞子による人類滅亡見たすぎる……」という気持ちになり、予習した。“人類滅亡”、素晴らしい響きです。

常に貞子によって襲われる恐怖に苛まれているというより、最終的に貞子によって殺されるところからいかにして逃げるかという精神的な圧迫感が強く、面白かった。元夫・高山が大変に優秀だが、主人公浅川に関しても行動的でストレスの少ないキャラクター造形をされており、見やすい。

全部が終わったと思わせておいて何も終わっていない展開なのが絶望的で良い。

*1:もちろん、我々の世界がハーモニーを獲得しようとして、真綿で首を絞めるような強権的な優しさによる閉塞感があることは前提として。