サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

22年月組『グレート・ギャツビー』

グレート・ギャツビー

すごい好きでした。なんかこう、もしかしたら「一人で東京宝塚劇場まで観に行った」というバフがかかった状態だからなのかもしれないので、冷静じゃないなあと思ったらそういう前提で読んでくれると嬉しい。

そもそも時代背景としてかなり好みである。ジャズエイジのお祭り騒ぎのような空っぽの時代、それでいて強固な価値観、でも禁酒法を犯すことにためらいのない能天気さ。不倫でありながらギャツビーにはそれを哀れな最高の恋に見せてしまうような魅力があって、誰もかれもまともとは言えない状態だけどついつい最後まで観てしまうような印象だった。

ギャツビーの堅気でない、気障だけど夢のために一途にやってきた純粋さがよく月城さんに似合っていて好きだった。偶然を装うつもりの男がピンクのスーツで来ないだろ。そういう可愛げがある。

決して育ちは良くないギャツビーはハリボテの優雅さでそれを隠しており、月城さんの品のある立ち振る舞いは、そういうギャツビーの危うい感じが出てて魅力的だった。そしてやはり儚げな絶世の美女がやたらと海乃さんに似合う。デイジーは情緒が割と子どものままというか、結果的に「女の子はお馬鹿さんの方が幸せ」というところに至るかなりしんどい状況に置かれており、意図的に自立から遠のくことになっていて今にも壊れそうなのだけど、『Last Party』も好きだったので二人のこういうアンバランスな恋愛がたぶん私好みなんだと思う。

鳳月さんのトムの選民意識、傲慢さがもう本当に最悪(褒め言葉)で、自信ある立ち振る舞いがとても様になる。トムが血筋から来る資産・歴史による地位であることを「貴族」と呼ぶことが、王朝なき国アメリカの特権階級を揶揄してる感じで良かった。

輝月さんのマイヤー、光月さんのウィルソンというおじさまコンビがとても良かった。特に妻を失ってからのウィルソンの狂気的な歌が素晴らしい。

夢奈さん演ずるラウルの、全然全くもってギャツビーをボスと思ってない感じが良くて、序盤から全然尊敬なんかしていないのが漏れ出ているからこそ、マイヤーにシマを分け与えられてからの笑顔が効いてくる。マイヤーの歌と共にダンスするアイスキャッスルのシーンと、フィナーレの紳士のパートの表情管理が最高だった。ただクールに決めてるだけじゃないのがとても大好き。

しかも歌がある!最高すぎ……。新規はこうして語彙力を失う。そのうち書き直すかもしれないです。

すごく好みの作品で本当に楽しかったし、素晴らしいお芝居だったと思う。