サニーサイドアップフォーチュン

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朗読劇「君の名前で僕を呼んで〜5th anniversary~ 」感想

朗読劇「君の名前で僕を呼んで〜5th anniversary~ 」

友人にグループのファンがおり、お誘いを受ける形で観劇して来た。映画公開から五年が経過した記念イベントの位置付けである。

あまりに美しい映画であるため、見た当初は以下のように感想を述べている。それはもう、とにかくずっと美しい映画である。

映画『君の名前で僕を呼んで』感想 - 夜明けの星を待ってる

当初キャスト発表があった時、「阿部顕嵐はエリオではないの?」と思ったのだけど、この作品は17歳のエリオと24歳の大学生であるオリヴァーのひと夏のロマンスなので、アーミー・ハマーのキャスティングに対して意見を述べる方が遥かに建設的である。ちなみに醍醐虎汰朗が22歳、阿部顕嵐が25歳なので、年齢差という点ではかなり設定に近い。

ティモシー・シャラメは元気に俳優をやっているが、アーミー・ハマーは結構衝撃的なスキャンダルと共に表舞台から姿を消しており、一応ロバート・ダウニー・Jrの援助をもらいながらリハビリしたり暮らしたりしているらしいです。

ご本人たちも言っていたが、オリヴァーの心情に対してしっかりモノローグがあるため映画よりもわかりやすく作られている。原作小説未読のためそこと比較することができないのは申し訳ないと思うが、オリヴァーがエリオのことをどう思っていたのかを言葉にし、かつ朗読劇という媒体に落とし込みこちらに描写の判断を委ねられている分「性」の描き方がかなりマイルドであるので、とにかく見やすい。

正直、オリヴァーの気持ちについてしっかり説明があることによってこちらの解釈を差し込む余地がだいぶ無くなってしまっているので、エリオの失恋に対してまでも正解が用意されている感じは窮屈ではある。また、心情についても双方しっかり説明が入るので、そこも変化を楽しむようなゆったりした作りになっていないのは惜しいが、映画のそういう空気が好きだったからそう思うのであって、ステージの上でそれを表現するのはどうにも無理だとは思った。提示される内面の情報量の割に空気感や描写、風景を映す分の時間を削った上で話が進むのでかなりコンパクトに仕上がっている。

二人のお芝居がとてもよかった。醍醐さんのエリオのわざとらしくない少年らしさも、阿部さんの溢れ出てくる青年の情熱もすごく良かった。

朗読劇とはいえども、一応軽く身体的な接触や身体表現があるのだけど、阿部さんのBL仕草が結構すごいなと思ったのがエリオの脚を撫でる時で、肩を揉むときは自分の気持ちに気づいて欲しい馴れ馴れしさがあり不自然に、脚を撫でるときはそういう感情とはまた別の、ごくごく自然に「触れていたい」というような欲求が乗っているのが良かった。醍醐さんはとにかくずっと内面の興奮と表面の冷静さを切り替えるのがお上手なのだが、オリヴァーと心を通わせるうちにそれが全部ぐちゃぐちゃになって行くのがとても良かった。

音楽や、雪や水飛沫のための紙吹雪、ライティング全てにおいて大変美しい劇に仕上がっていたと思う。個人的にはプールのセットはまだしも全体的に美術に疑問は残るものの、それを上回るそのほかの美しさがあったと思う。

 
 
 
 
 
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