サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『NOPE』『HARAJUKU』

NOPE

面白かった。ここのところ最近見た映画で一番怖かった。

深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いていて、人間が全てを掌握し管理下に置くことなど到底出来ないために人間の傲慢さが未確認くんによってサラッと踏み躙られていくのが良かった。

映画で動物がただの舞台装置であることを求められたように、黒人は表舞台を奪われて、アジア人はアクセサリーみたいなことが結構ずっと辛くある。ジュークが過去の栄光に縋って生きてきた中で、最終的にジュークの風船が未確認くんを打ち倒すスペクタクルになるのが皮肉が効いていて好きだった。あとAKIRAのバイクパロは無限に好き。

 

HARAJUKU

キッツ〜。

婚外子で母子家庭の主人公が、母を自殺で亡くした後に信頼できる大人が不在の中で思春期ならではの孤独感と全能感みたいなのに苛まれて、そのまま心のユートピアたる日本に逃避する話なのだけど、大人のクズな振る舞いに太刀打ちできない子供、子供のケアより先立つ「安全」が、子供のなけなしの自尊心を蝕んで行くのかなと思いながら見ていた。

ヴィルデは多分、最後にはユートピアに母と逃げ込む形で極端な選択をしてしまうし、父は多分本当に遅すぎるんだと思う。ヴィルデたち親子が始めから社会に想定されていない立場で、最後まで福祉はそれを適切に救うことができない。ヴィルデが「正しくない」方法によってそこから逃避を試みる辛さもまた、彼女が子供であることや彼女の階層について考えてしまう。コーヒーひとつ買えないというのがどういうことなのか、ノルウェーという国の事情を垣間見る気分だった。