サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

『仮面ライダーW』完走

聞いてください、平成二期を完走しました。(ジオウはまだ放送中だよ)
TTFC入会が2018年6月18日、その日にエグゼイドを見始めたので足掛け約一年──正確には342日かけ、平成二期を完走しました。頑張った!!

登場人物の話

翔太郎くん

仮面ライダーW』は翔太郎くんが優しく誠実だからこそストーリーが進み、翔太郎くんという街を愛する探偵だからこそ主人公足り得るのだと感じた。
けれど翔太郎くんはどこまでもふつうの人間だったのがさらに良いと思う。フィリップのように特別な子どもでも、亜希子のように「名探偵の娘」でなくても、照井のような復讐があるわけでもなく、血縁に縛られない翔太郎くんだからこそ、積み重ねて来たものを信じて頑張れるのだろう。
翔太郎くんはヒーローなのだ。めちゃくちゃかっこいいのだから、めちゃくちゃかっこいい人として扱われるところも見たくて仕方なかったのだけれど、それじゃハーフボイルドとは言い難いのかな。完璧にカッコいいわけじゃない、普通の人間。それが翔太郎くんの良さなのだ。(まあほかの色々な派生作品に触れていない私の感覚でしかないのだけど)
48話のエクストリームメモリを閉じれない翔太郎くんのところで大号泣した。

フィリップ

ポンポンの可愛い菅田将暉の背が伸びてお芝居がどんどん上手くなり顔がシュッとしながらも少年のフニフニ感が残るすごい成長をするわけだけど、その一年をかけての彼の成長がフィリップというキャラクターと地続きに感じられるのがとても良い。
それを友人が「フィリップの人間らしさの獲得」と呼んでいた。素晴らしい言い回しだと思う。
フィリップがいついかなる時でも特別な子どもで、誰にとっても特別な子どもで、それが「どこまでも普通の人」の翔太郎くんの相棒であるフィリップであるということがまた良いなと思う。
与えられる感情に、同じだけの同じ想いを返すことができるが故の「相棒」という特別さ。それが翔太郎くんとの間にあるから二人はWになれるのだ。

照井

最初出てきた時「なぜ二号ライダーは人の話を聞かない?」と思った。なるほどみんな人の話を聞かず、自らの目的のために戦っている。
そんな照井竜、驚くほど弱体化せず、ずっと強いところが良い。
普通の人らしい翔太郎くんやどこまでも特別なフィリップを支える強さがある、まじめに人を愛することが出来る。照井のそういうところが魅力的なのだと思う。

亜希ちゃん

強烈なキャラ設定で最初好きになれるか不安だったけど、最後はその強引さが翔太郎くんとフィリップ を繋ぎとめる役目を担ったり、痩せ我慢する二人の代わりに泣いてくれたりするので尊みだった。
亜希子が深刻になりがちなストーリーを明るく変えるし、歩み寄れないものを引きずってでも近寄らせるし、「鳴海探偵事務所」という帰る場所を権利としても気持ちもしても家庭として守ることが出来る。
亜希ちゃんはそうして全ての人の家庭になるところが、彼女がヒロインであるということなんだと思う。

園咲家の皆様と井坂先生と霧彦

多分結構最初から冴子さんのことは好きで、可愛くなっていく若菜姫も好きで、お父さんもお母さんも間違えただけでかわいそうだったし、園咲家のことは愛せる悪役だった。私は姉妹や兄弟の確執に弱い。
シュラウドがフィリップの家族を翔太郎だと言うの、家族として崩壊してしまった園咲を嘆くだけでなく、「家族」という定義に基づいて判断したのかもしれないと思うとそれもまた切ない。理系研究者としての合理的な判断だったのではないかと。
だが井坂先生、てめーはアウトだ。
霧彦はその散り際含めてめちゃくちゃかっこよかった。

ストーリーの話

「相棒」というもの、「家族」というもの

例えば戦兎くんと龍我、例えば映司くんとアンク、存在を共有する永夢先生とパラド、そういう中で翔太郎くんとフィリップの「相棒」はとても爽やかで、ビギンズナイトからの信頼というものに裏打ちされているのだという描き方が良かった。信仰でも利用価値でも存在理由でもない、「相棒」という言葉そのものの意味を示すような、そういう印象だ。
この作品があったからビルドが生まれ、私は仮面ライダーにハマったのだ。そういう意味でも、あらゆる装飾を剥いだかのようなシンプルな構成は、二期の始まりを飾るに相応しいお話なんだろう。
ファミリー・アイデンティティ、という言葉がある。それは家族の構成員が認定するまとまりの範囲とでもいうべきものであるが、家族に必要とされる「血縁・姻戚関係」「共同生活」「情緒的愛着」について、何をどう強く求めるかということになるのだけど、それを言葉の定義に基づいてシンプルに描くところも、私の感じるWらしさだなと思う。

バランス

わかりやすく個性を描くこと、特徴を持たせることが、私は割と苦手なのだということは、ウィザードを観てる時からなんとなく気づいていた
Wは強烈さスレスレのところで依頼人ドーパントを描いていて、印象に残らないというわけでもなくかと言って「めちゃくちゃ無理」と感じないところのバランス感覚が私にとって良かった。
それはメインキャラが初めからドカンとかまして来て徐々に均していくのと対照的に思うし、コメディ要素の含み方なんかにも見られるバランス感覚だったと思う。

映画の感想

嬉しいことにYouTubeで限定配信されていたのに、完走するにあたって映画まで観れてしまった。
フィリップの母親への想いにクローズアップされていたストーリーは、テレビシリーズの母親への想いがずいぶんあっさりしていたフィリップを補う役割なのだろう。
私の感想では、Wは「表現したいことの意味をシンプルに伝える」ように思っていて、映画もまた「母と子」という関係性を描くものだった。
そして単身乗り込んで行く翔太郎くんにとっては、『仮面ライダー』というヒーロー像を守るための戦いだったんだろう。
悪い仮面ライダーなど存在してはいけない*1、親子は傷つけあってはいけない。そういう話だったんだろう。
Never、存在が悲しくならざるを得ず、好いてしまうタイプだなと思ったんだけど、最終須藤元気のこと忘れられない。映司くん出てきて「キャーーーー!! 映司くーん!!!!」ってなってなお須藤元気のパワーがすごい。

さいごに

ファンが多いこの作品をさいごに残しておいたのは、なんか周りの人がみな一様に「面白いから見て」とこの作品を言うからだ。
つまりそれだけ多くの人に見てもらい、愛されたのだろう。
とても面白かったしさいごに見て正解だった。
とりあえず今は平成二期を完走したので一期を見ようかと思いながら、シンケンジャーを見ている。

*1:街の人がつけてくれた名前だから、というやつだな。