仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム
個人的にはぜーんぜん面白くない。本編で感じたフォーゼの面白さもウィザードの面白さも全然感じられなくて、単純に坂本浩一監督がやりたい絵面優先に作られているようにしか見えず全然キャラクターの魅力も見えてこない。本編で坂本監督回が入ってくる分にはそれまでにあまりなかった生身アクションが見れていい感じ、となるけど、映画になるとこうも生身生身アクションアクションで話が全然進まないものかと思った。あと女性がするアクションに対して全てお色気要素として扱うところとか、時代が時代だから作ってもまあ許されたのかもしれないということは念頭に入れつつ、本当に露骨で趣味が悪いと思う。ショートパンツ履かせて太腿ばっかり映してたりフォーゼ夏映画みたいに谷間ばっかり映してるの本当にさ、仮面ライダーでやる必要ある?ないよね?
平ジェネやリバイス夏映画の時はそこまでストレス感じてなかったと思うから、趣味に走らなくなってると思いたい。そもそも私は上堀内佳寿也監督みたいなたっぷり間を取って会話と役者の顔を見せてくれる演出が好きなので、この映画と合うはずがない。終始合わないものと向き合う時間、つらい。
ストーリーとしても、本編に出てくるテクノロジーと関係ない昔のキャラクターのリバイバルっていうのがまずあんまりテンション上がる要素ではない。弦太朗くんがフォーゼドライバーを捨てるのはよくわからないけど、5年のギミックがウィザードの魔法によってもたらされるのは好きだった。正直、演出と合わなすぎてストーリーどころではない。
ホビット 思いがけない冒険
面白かった。保守的であろうとするビルボが自分と真反対のものに対してどう付き合っていくのか、ビルボが得た勇気が果たしてビルボ生来のものなのか「一つの指輪」に由来するものなのか──というビルボ個人の問題と、はなれ山を目指すドワーフ一行としての冒険、ガンダルフやエルロンド卿が危惧する中つ国の危機などが並行して進むものの、作り方自体はすごくシンプルな王道なので楽しく観れると思う。出てくる用語や関係などはマニアでないと正確に掴むのは大変だとは思うが、立場や信頼の度合い、問題に対する切実さはしっかり態度と言葉尻に描かれているのでそんなに困ることないと思う。続きも見たい。
箪笥
すごく病むが良い映画だった。私は姉なので、姉が主人公というだけで感情移入の度合いに影響があるのだが、完全にそのタイプの映画で最後の方はつらかった。
ホラーとしての要素もサスペンスとしての要素も揃っていて、ちゃんと筋道立ててそれが進んでいくところが丁寧だと思ったし、得体の知れないものに対して説明しすぎることなく最後まで恐いままなのがよかった。
あと、家がかわいい。
フッテージ
最初に思ったことが最後そのまま採用になってる感じが微妙だけど、ジャンプスケア一辺倒ではない感じはあり、そこはよかった。
作中出てくる8ミリフィルムの空気感などはとても良く、薄気味悪い映像に仕上がっていたと思う。
まあでも、とりたてて私の中で評価されることもなく、かといってどうこう言う感じもない。
バーフバリ 伝説誕生
インドの有名な叙事詩にインスパイアされているだけに、話の作りやエピソードがそれぞれかなり神話的で、かつ典型的な貴種流離譚のため今後の展開については安心して見れる。こういったクラシカルな物語の流れと運命の恋人という要素が強い序盤は、かなり宝塚歌劇の演目に近いものを感じるため、並べて語る人が多いのも頷けると思った。アヴァンティカが戦士のままでも十分美しいのに、シヴドゥの手によって着飾るのとかは本当に、良くも悪くもクラシカル。
常にたくさんの人が画面に映り続け、背景の壮大さも豪華絢爛で、最後の方の戦争の場面などは本当にたくさん人がいて結構な迫力だった。この陽気なテンションと鮮やかな色彩から考えられないくらいの人数が死ぬし、血がダラダラ流れる。それでいて土埃と灰に塗れた戦場ではなく、美しさと煌びやかさを失わないのは文化だと思う。
とまあ、大流行りしたことの要因などは理解できる一方で個人的にはそんなに響いておらず、まあ、はいという感じでした。細かなところを気にせず爽快さを楽しむにしろ、勢いのある心象を楽しむにしろ、私の気持ちがノッてくる前に作品がノリノリになってるから、そうですか、という感じだった。だから後半の泥沼王宮愛憎劇パートは前半より好きだと思う。
あと、あまりに絶賛の声が大きいので斜に構えて観賞していることは言うまでもない。ホラーのカルト的人気はそちら側の人間なので気にしないが、こういう作品のカルト的人気に関してはどうにも身構えてしまうし、なんかこう「あんまり好きじゃない」という感想そのものが、良しとされてない雰囲気で怖い。
バーフバリ 王の凱旋〈完全版〉
確かに伝説誕生より面白い。
前半の愛憎入り混じる宮廷劇は王道ながら、嫁姑の「大国のあり方」の考え方の違いとか、従兄弟間の王としての器の違いを前作ラストから繰り返してる感じとか、全体的な勢いと爽快感のある雰囲気に合わせてテーマの割にすごく見やすい仕上がりになっている。作品が違えばもっとドロドロしてきついものになっていたと思う。映像的にも、とにかくノリノリになっている感じがあり、バーフバリとデーヴァセーナがマヒシュマティ王国に帰ってくるところなどはヤバいテンションのKPOPのMVみたいな楽しさがある。
自分が王の家系と知ってから受け入れて立ち上がるまでの葛藤が一切ないところなどは、神話だと思って見ればそういうものだなという感じだけど、こういう物語にありがちな都合の良さも感じる。ぶっ飛んだ戦闘などはクライマックスに向けてよりとんでもないことになるため、なるものはなるみたいな気持ちでいると良い。
伝説誕生と合わせてCGによる映像の凄さはヒシヒシと感じた。このテンションなのに思ったよりもちゃんとしている。象がすごい。