ゴッズ・オウン・カントリー
こんなに曇天の中で繰り広げられるラブストーリーなのに希望が見える終わり方をした。これぞ冬はやがて終わり、春が来るというやつです。
娯楽もなく閉鎖的な田舎で、封建的だが働き手ではない父親の代わりに牧場の仕事を一手に引き受けていた主人公ジョニーが、ゲオルゲの無骨だけども芯のある優しさに惹かれてより良く生きれるかもしれないと思い始め、思い通りにならないことの苛立ちを子どもみたいに他人にぶつけてというのが、最低限のセリフで理解できる。常に薄曇りみたいな光の中で、ゲオルゲの元まで向かった時の柔らかなオレンジの光が綺麗だった。
全体的には寂しいけど美しい景色なのだけど、牧場という仕事柄、生き物の生死や性行為に関して温度感はないのに生々しい描き方をされている。それに対してどうという気持ちはないけど、そんな風呂も満足に入れない野外で昂ることあるんですか?不便ですね、という気持ちにはなった。
レリック ー遺物ー
思ってた話と全然違くてびっくりした。
もっとなんだか悪魔的なものに苛まれるのだと思っていたが、終始「老いる」ということと、それに向き合い受け入れていくことの難しさを描いていたと思う。一族の伝来に苦しめられるのはそんなに好みでないが、ずっと不安を保ち続けジャンプスケアなしに気味が悪いことと、誰しもにそれがやってくることを暗示させるラストの皮剥ぎ川の字は良かった。