サニーサイドアップフォーチュン

エンターテイメント感想ブログ

感想『WHY R U?』『るろうに剣心 最終章 The Final』『ジョジョ・ラビット』

ドラマ、映画、映画。ネタバレ考慮なし

WHY R U?

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比較的新しいタイYドラマで、かなりコロナ禍の受けた作品だそう。それは正直節々に感じており、これを書いている今も「WHY R U コロナ」などと検索し(失礼)やはり苦労していたんだなということを再確認している。主にSaifahとZonがそのあおりを受けている。

で、内容としてだが、面白いのはZonの妹でwebで兄をモデルにしてBL小説を書いていたZolや、彼女の小説の読者である女性たちが全く隠しもせずに、モデルになっている人たちにガンガン告知して行くところだったり、Zolの口八丁やSaifahのからかいにZonが良いように操られて後に引けなくなるところなのだが、そういう暴走する女子たちは基本的にSaifahZonを取り巻く環境に多い。前述のとおり、SaifahZonがコロナの影響をしっかり受けて、何なら撮影を中止したりとしていた様子で、全体としての分量が本当に少ない。本当に残念である。

その分何が放送されていたかというと、もう一つのメインカップルであるTutorとFighterである。なお本エントリでは、どっちがトップでどっちがボトムと固定されているのか不明ではあるものの。語感が良いので以後FighterTutorと呼ぶ。

このカップルが結構、言っちゃ悪いが間延びしている。ただただもめてるシーン、ただただいちゃついているシーンという印象が中盤かさむ。父親という障害が現れて別れるよう促しても、親子喧嘩一回のシーンだけでそのあとTutorへの父の謝罪動画をFighterが撮影してきて終わりと、割とさらりと決着はさらっとつけてしまう。Tutorの友人HwahwaがFighterと正式に付き合うかどうかという三角関係の展開があるのだが、Fighterに脈なしと悟るHwahwaの聞き分けが非常に良いばかりか、悟った直後にDayというTutorの友人と早速いい雰囲気になるので非常に雑な当て馬扱いをされている。そもそもFighterとHwahwaはそれぞれ親の都合で付き合わされていたにも関わらず、納得したと作中示されるのはFighterの父だけであり、Hwahwaの母親はHwahwaがどうにかしてくれましたと言わんばかりのスルーである。とにかく何とか綺麗にラストシーンを迎えるために頑張ったような感じ。

撮影ストックのあった序盤は割とFighterTutor、SaifahZon、Zolの動きなどが交互に出てきて「小説が現実になるギミックってどんなのだろう」とワクワクする場面もあったが、そういう描写もあまり活かされることなく最終回まで行ってしまった印象。あとは謎のサブカプの乱立も必要なかったんじゃないかなと思った。全然活かせていないし、回収できていない。

良かったところはSaifahの性格が結構好きな感じだなと思ったのと、あとははっきりLGBTQと宣言したうえでFighter父にKaeが意見したりするのはすごいなと思った。「同性と恋人になる」ということを描く作品も見たが、あまりはっきりと定義された言葉を使っていなかったイメージだったので。あとでスタッフインタビューを見た際にはっきりとそれを意識して制作していると述べていたので、なるほどなと思った。あとは単純にキャストのビジュアルもとてもいいと思う。

Saifahの性格、可愛いんだよね。SaifahがZonが好きなのが初めのほうから視聴者側にはわかりやすく、それは出会った瞬間からTutorが好きなFighterと同じなんだけども発露の仕方が可愛い。SaifahはFighterよりもっと楽しそうで、素直で、安定している。これが『SaifahZon』を見てどのように変わる印象かはわからないけど、にこにこ子どもみたいに甘えてみたり、頼りになるところ見せてみたり、序盤から翻弄されるZonも可愛い。

るろうに剣心 最終章 The Final


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これまでのシリーズがクライマックスに向けてどんどん派手になり、盛り上がりというイメージだったのだけど、これは話の辛さのこともあるだろうが結構静かな印象で作られてるのかなと思った。志々雄の時は勝手に出奔した剣心が、今回は仲間たちに事情を説明するようになってるのは成長だと思った。結局一人で挑んで操ちゃんに怒られてたけど……。

これまでのシリーズ登場キャラクターが総出演なのがアツい。あのキレてた蒼紫様が一般人を庇って戦線を離脱したり、その分操ちゃんが名代として中ボスを撃破したり。斎藤さんは相変わらず余裕そうに勝ってるし、なぜか宗次郎も剣心の味方をしてくれる。原作読んだことないのでわからないのだけど、これ宗次郎はここに来るもんなんですか?なんか二人並んでるところ撮りたいから入れたシーンだったらどうしようと思いながら見ていた。宗次郎が抜いた刀があの時剣心に折られたときのままで、錆びついていて、鞘で殴りながら戦ってたのが結果的に不殺で良い*1。なんか出したいから出たみたいな気持ちではあったけど、宗次郎が過去に踏ん切りをつけられたならそれでもいいかと思った。可愛かったから。全員集合するの、最終章だからということであれば、冬映画感あってすごくそれっぽい雰囲気になっていたかなと思う。とにかく左之助の勝率が低く、あくまで一般人寄りなんだなと思った。そうなってくると事実を打ち明けた剣心はかなり勇気が必要だったかもしれない。戦闘要員が道場に少なすぎる。

薫が縁に攫われて、丁重に寝かされているのも勝手に姉の面影を見出されてるのもヒロイン力の高さという印象だったのだけど何かあるのかな。原作読んだら二人の会話とか有りそうだな。一応この「薫が人質になる」や「道場破り」は一作目のリフレインにもつながる印象ではあるので、ああ最後なんだなというのを結構意識させられる。脚本の意図というわけではないと思いますが。

メインの人たちのお芝居は良いのだけど、ちょっとだけ出てくる人とか、敵の人とかのお芝居がちょっと……と感じた。真剣佑の縁が良すぎ。乙女ゲー始まるのかとすら思った。

人誅編として必要な要素は全部入っていると思うし、面白いとも思って見ていたのだけどなんだか盛り上がりには欠けている。なんだろうな。志々雄ほど派手に何かしていたわけじゃないからなのか、それともことさら「最終章」っぽい演出を重ねられることに冷静になってしまっているのか。

とにかく殺陣、アクションは相変わらず良いのでそれを見てるだけでも楽しいし、邦画はこういうのばんばん出してくれたらいいのに。

沢下条張が出てきて特に見せ場なく死んでいたのが一番ショックかな。りょんくん……。

ジョジョ・ラビット


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とても良い映画だったと思う。戦争やナチスの思想を軽やかにバカにしている感じも見やすく、重要なことは何度もちゃんと見るように観客に促してくれる丁寧さもある。どんどん悪化する戦況の中で、ジョジョが己の奇行(しかもイマジナリーフレンドとは言えアドルフ・ヒトラーにそそのかされた結果だ)によって戦線から遠のき、結果的にヒトラーに背く形でユダヤ人であるエルサと心を通わせることになる。一方でジョジョの友人であるヨーキーは同じく10歳の子供であるのに銃を背負い、軍服もどきを着せられて働かされている。そういうわかりやすい対比が、10歳の子供の視点を感じられてよい。

靴ひものこともそうで、一人で靴紐も結べないような子供だったジョジョが、母を亡くし靴紐を結んであげ別れを告げて、最後には自由へ一歩踏み出すエルサの靴紐を結んで一緒に踊るのだ。お母さんがお父さんの役をこなすところ、ちょっと泣けた。面白くてかっこいいお母さんだ。

おそらくは母ロージーの一件があったために家に秘密警察が来たのだろうが、そうやって当局に伝わっていてもなぜかジョジョとエルサ(姉ということで切り抜けるが)の二人暮らしを放置されているのは、もう当局が孤児のことなんか気にしてられる状態ではないということなのかな。しかるべき施設に送られそうなものだけど。

クレンツェンドルフ大尉とその部下フィンケルのキャラクターがとっても愛おしくて、この二人明言はされないがおそらく同性愛者で恋人関係なのだと思う。二人はジョジョに仕事を与えたり、ちゃんと会話をしたりする。秘密警察に家宅捜索されているときもすぐに来てくれたし助け舟も出してくれていた。ロージーとも親しかったようだから、もしかしたら知っていたのかもしれないとも思う。最後二人でバカみたいな服を作って華々しく戦いに赴くのだけど、戦争が終わったとき捕虜として捕まりかけたジョジョを助けてくれたのは大尉一人だったから、きっとフィンケルは助からなかったのだ。大尉がどんな思いでジョジョを逃がしてくれたのか考えると泣けてくるし、このシーン本当に良い。

前半と後半の落差で動揺するが、とても良い映画だった。

*1:実は殴り殺してるかもしれない.。