元禄バロックロック
楽しくキラキラして、悲しいことをなるべく排除した作りの明るいロマンス作品だった。衣装がとにかく可愛い。
忠臣蔵って忠義であったり面子であったり、そういう実にならないもので決起して死んでいくというところが醍醐味かなという風に思うんだけど、これはそんなことのために死んだりせずみんなの聞き分けが良かったので、とにかく明るくてかわいい、このやたら暗い時代にぴったりの演目だなと思った。タイムループものとして条件であるとか地点であるとか、記憶と肉体の関係とかそういう理屈っぽい説明はないのだけど、それはそれとしてキラのクロノスケへの執着とか愛情が巨大なので、細かいことを考えるよりロマンスとして楽しむのが正解だと思う。「キラ」が「吉良」で「煌(綺羅)」だったり、「クロノスケ」が「黒」で「Cronus」だったり名前の付け方がおしゃれでいいなと感じた。
ショーの『The Fascination』がすごくて、私は意識して宝塚歌劇を観るようになって日が浅いので知識不足だけども、それでもこのショーが歴史を踏まえたものであるというのが強烈だった。
シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-
~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~
題材が題材なので頭脳戦を期待していくと、結構脳筋なストーリーなのでちょっと面食らうが、全体的にはマンガっぽい雰囲気で見やすくキャラクターもはっきりすっきりしていて楽しかった。私がヴィクトリア朝の大英帝国大好きというのも大きな理由かもしれない。必要以上にふわふわキラキラした衣装にせず、また霧のロンドンという感じのセットの転換もストレスなく観れた。
始まり方のスピード感がとっても良かっただけに、妙に話が停滞する序盤の時間がもったいない。あそこで別に伏線があるとかでもないし。あとモリアーティ教授やその周囲のキャラクター設定がやり過ぎてて、教授本人もだけどヘルダーがあまりに敵の中ボスキャラって感じだったので、特に2.5次元でもないならやり過ぎかなと思った。ポーロックはその点の塩梅がよかったなと思ったけど、多分私が好きなキャラなだけな許されている。
ライヘンバッハの滝に落ちて戻ってきたあと、ホームですれ違ってスポットで帽子や鞄が残されて終わるのがおしゃれで最高だった。どこでもたいていホームズはワトソンの事情を無視して巻き込むものだけど、宝塚なのであくまでアドラーを優先する形になり全体的な湿っぽさが軽減したんだなと思った。
『Délicieux!-甘美なる巴里-』は本当に可愛くて、「本編がイギリスなのになんでパリ?」と思ったけどそんなことはどうだって良い。衣装も曲もセットも本当に可愛くて楽しかった。