サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『最愛』『悪魔の棲む家』

最愛

すごーーーーーく面白かった。

とにかく一話目から最終話に至るまで泣き続ける有様で、オェオェ(嗚咽)言いながら画面に齧り付いて見た。

誰しもが最愛の存在のためにちょっとずつ狂っているのが、本人たちもわかっているのに止められないのも良かったし、そもそもサスペンスとしての話が面白い。演者もみんな良くて、梨央が優を想って泣くところなどほんとうに辛いシーンだったし、梨央に気持ちを伝える大輝のシーンは大変キュンとしたので松下洸平がキャベツの千切りをするところをわざわざ検索して見たりするなどして踏み留まった。曲もどれも素晴らしく、良いところで流れるので大変に泣ける。「君に夢中」があまりに全ての関係に当てはまるので、やはり宇多田ヒカルはすごいと思った。加瀬が梨央や優に向けた愛情、梨央が優や大輝や家族や多くの人たちに向けた愛情、大輝が梨央に向けた愛情、後藤が会社に向けた愛情、梓が家族と会社に向けた愛情──そういうものにぴったりフィットする名曲だと思う。

あと、被害者の設定が絶妙だなと思って見ていた。最初の白山の事件の被害者がめちゃくちゃにクズで全く視聴者の同情を買わない想定になっているから、どうにもそんな人のために人生を狂わせることになった朝宮家が可哀想だし、同じくそんなクズな息子のことを盲信的に信じている父親に対してもどうにも同情はしづらいし、類似の苦しみを隠している梨央を糾弾する橘しおりにもなんとなく視聴者は複雑な気持ちを持つだろうし、人が死ぬということは大変なことである一方でそういう複雑なバランスがとてもうまいドラマだったと思う。

かなり撮影の仕方やサスペンス・ロマンスの切り替えなどの雰囲気が韓流ドラマっぽいので、リメイクされてもなんの違和感もないだろうなと思った。みんな、好きなアイドルに優やってほしい気持ち、あるよね。私はある*1

方言の使い方がわかりやすくてすごく良かった。食事シーンがたくさん出てきてそれももちろん心理的な距離を示すものではあるんだけど、人間の生活の描写としての意味が感じられるので、方言はそれよりもっと、梨央と大輝のロマンスに直結していたと思う。先ほどまで警察官と参考人だった二人が、方言で話す時には初恋同士になってる。それが尊い

 

悪魔の棲む家

2005年のリメイク版を見たのだが、びっくりするくらい面白くなかった。

単調なジャンプスケア、掘り下げの薄い登場人物、大してスッキリともしないラスト……。問題の家のインテリアとかも別にそこまでどうということもない。可愛くもないし、不気味に振り切ってるような感じもない。『死霊館』が家族にフォーカスし、家そのものよりも二つの家族の話でうまく盛り上げたり、『箪笥』のように家そのものが不気味に見えるとかでもない、ほんとうにどっちつかずの特に褒めるところのない映画だった。

ライアン・レイノルズがしょっちゅう半裸になってるのも特に意味は感じない。

ただ、全体としてコンパクトな上映時間であり、定期的に恐怖ポイントが用意されていることから、さらっと見れる映画だった。

*1:ハンニョンで。