東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-
本当に終わった後に「アッくん!?!?」って頭を抱えたとは言え、いろいろ滅茶苦茶ではあるもののそれなりに楽しく観ることができたのでよし。二部作なので何にも解決していないし、わけがわからないままに終わって行く。気持ちが昂まる終わり方もしていないし、妙にダラっと話が進んでいる印象はあるものの、これを無理矢理一つにまとめなかったところは評価できると思った。私は本当に何にも東京リベンジャーズのことを知らない関係上、一本にまとめられたらついていけないのではないかという不安がある。あと、キャストがとても良い。
そう、新登板キャストがとても良く、場地、一虎、千冬それぞれがとても魅力的だった。場地の身内に甘く詰めも甘いところ、一虎の責任転嫁しがちな考え方と身勝手さ、千冬の猪突猛進さと推察することの放棄などは短時間ながら感じられた。
まず現時点での印象ではマイキーは何にも悪くなくて、一虎が滅茶苦茶なのではないかと思うのが観客の総意なんじゃないかと思う。真一郎を殺してしまった後の一虎が、昼中に場地とチンピラを喧嘩した話をするのと同じようにマイキーにその原因を求めるお芝居が、とにかく滅茶苦茶なのに変な説得力があった。それが村上虹郎さんという演者の説得力なんだと思う。そしてそれを受け入れる場地の頼りなさげな様が一虎を御しきれなかった場地の弱さなわけで、千冬はそれを知らず*1に隊長として慕って挑んで行っているという不均衡さが好きだった。壱番隊隊長の場地を求める千冬と、場地の失敗そのものみたいな一虎。一虎の逆恨みのしょうもなさに説得力を持たせる演者。それが良いバランスで映画の中にあって、とても魅力に感じた。
千冬周りだと、武道との関わりが好き。武道は常に周りの不良にビビりつづけているが、千冬に対してはシンプルに鬱陶しいと思っていそうなところとか。武道はタイムリープという事情の複雑さから、真に理解してくれる仲間を欠いた状態で頑張っているわけだけど、せめて千冬が参謀として武道の代わりに難しいことを考えてくれるのかと思ったら、全然そんな頭脳労働しないタイプっぽくて可愛かった。
個人的に磯村勇斗さんが好きで観ているので、直人の口から「車を運転していたのは千堂敦でした」と言われて本気で頭を抱えたし、たけみっちがアッくんを忘れていない度に安心した。武道を一虎から庇おうとするところが格好良く、彼にとっては武道が清正に立ち向かった時から、武道こそヒーローなんだよなと心が熱くなりました。
前作に引き続き、話のギミック周りに関する扱いが雑であるとは思う。時間の概念、記憶の保持についてというような武道自身に関わる部分もそうだし、ヒナを襲った悲劇が「東京卍會に関わるものである」という結論も、そうとしか考えられないとはいえ突然に武道の口から出てくるのでいずれにせよ雑に展開されている印象だった。
これは言っても仕方ないことだけど、パーちんがいつもやられ役で可哀想だなと思った。パーちんに対してたけみっちは思い入れがないから、全然助けてももらえない。
喧嘩シーンは前編ゆえさほど多くないが、アクションとしてはそれほど爽快感もなくというのは前作に引き続き感じる。同じく前作に引き続き怪我の描写に容赦がなく、今回は千冬がその餌食だが大変に血みどろになっているところは素晴らしいんじゃないでしょうか。これは喧嘩と人間のままならなさを撮る映画であって、かっこいいアクションがメインではないんだろうな。
なんだかんだいいつつ、後編を楽しみにしています。早く特攻服を着ている武道が見たいです。
*1:多分