サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『回路』『ゆれる人魚』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『呪餐 悪魔の奴隷』『フォロイング』

回路

徹頭徹尾ジャンプスケアなしのねっとりとした演出なのは大変に満足感があり、ホラー要素の強い前半は結構不気味に怖いので良い。

後半はポストアポカリプス的な展開となり、オカルトやそれを媒介したインターネットの、この時代特有のアングラ感、若者の厭世的な生き方、孤独みたいのが絡まって来る。嫌いではないけど前半の怖さとは別の話になっていくので、好みの問題かなと思う。

孤独の捉え方と、恐れ方の違いが川島と春江を隔てる絶対的な溝で、全ての人に対して一生懸命にまっすぐ向き合うことのできるミチのひたむきさが物語のテーマなのかなと感じた。

 

ゆれる人魚

生臭い質感と野生味溢れる姉妹の習性からか、裸のシーンが多いのに性的であるというよりは「人間の体ってグロいな〜」というような感想を抱く。

食べようとした人間たちと仲良くなって陸に出てきて、楽しく仕事したり恋愛したりしていたのに、人間でないが故にだんだんと噛み合わなくなっていく中で、恋のままに終わっていくことを選ぶシルバーの安らかな笑顔が本当に可愛くて悲しい。ゴールデンはずっと野生を失わない感じが良いのだけど、それに相対してシルバーが人間になろうとする中で、仲良いが上にその性質の違いに対して強く反発し合うことができずに何も守れない切ない終わりが良かった。

 

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

モキュメンタリー、ファウンドフッテージ、POVの先駆けということで、観とくべきだなと思っていた。確かに、今見るともっと洗練されていてもっと怖い演出の作品はたくさんあると思うけど、この荒削りであるが故にリアリティを感じてしまうような作りは楽しめるし、三人の喧嘩から状況の受容までの流れは違和感なくリアルな感じがして生々しかった。だからこそ森の中にいるという恐怖の方が、魔女の怪談そのものより怖いと思う。

個人的にはこれくらい怪異について映らず、何もわからず、対策もし得ない感じの方が怖いと感じた。

 

呪餐 悪魔の奴隷

かなりストーリーのしっかりあるホラーで、撮影や演出にも「こう撮りたい」という理想がしっかり定まっているのを感じる。実は第一作があったとのことで、前提の事件がありそこの知識が欠如しているのは勿体無いことをしたが、なくても結構楽しめた。何か大きな敵がいるのではなく、土地や大きな教義みたいなものに対するホラーという感じがしていたのだけど、最後に明確に怪しい人たちが出てきて先を匂わせる終わり方をしたのでちゃんとシリーズ追った方がいいのかもしれない。

割と王道っぽい驚かせ方を色々詰め込んでおり、「あの名作っぽいな」とかそういう楽しみ方もあると思う。どこかで見たことある展開なので、予測はつくかもしれない。

 

フォロイング

「イットフォローズ」のプロデューサーが作ったためか、またフォローミーしてくるタイプの霊である。

アメリカ人がタイでイギリス人に騙されて日本人の霊に取り憑かれるという、妙に国際色が豊かな映画で設定は興味深い一方、内容は個人的にはそんなに面白いと思わなかった。

特に何か大きなストレスポイントもなく、問題視したくなる描写もなかったと思うが、別に面白いと思うポイントもないかなという感じ。

作中の悪霊である「ワタベ」に関しても、登場人物が恐れている割には観客側的にはそんなに怖く感じられずだった。

クライマックスシーンのワタベは結構「陳情令」の凶屍とか、「山河令」の鬼みたいな質感でもはや親しみやすい。