サニーサイドアップフォーチュン

物語と歌って踊る人が好き

感想『DUNE 砂の惑星 PART2』

DUNE 砂の惑星 PART2

面白かった。朧げに未来が見えてしまうが故に未来に怯えながら戦士として強くあろうとするポールを、周りの大人が良いように担ぎ上げて救世主にしてしまうというグロテスクな政治劇がPart2のメインの流れなのだが、これがチャニとの美しい恋と平行しておりキリキリと切なくて面白い。

繊細で誠実なポールのことを愛したチャニが、人に求められる指導者として振る舞うことにしたポールのことを見限るエンディングなのが辛い。先が早く欲しくなる。そもそも実際のところ、ポールが本当に救世主なのかは全てを見通しているポールたちにしかわからないので、なんかこちらもポールを心配する他になく、チャニが彼を救ってくれることを願うばかりです。

それほどシーンは多くないがイルーラン皇女がとても良くて、父である皇帝は耄碌してきたと言っても過言ではない中、若くして完全に政治家としての手腕が備わっており格好いい。フェイド=ラウサが生き残りそうですぐ退場したことに比べると、魅力的で良い物語の語り手だと思った。あと、暗躍するベネ・ゲセリットの女性たちが知性によるセクシーさで物語を見通しているのがとても良い。

とかくポールが自然体で、カリスマがありながらもそれを支えたり押し上げたりしたくなる存在で、ポールやフレメンたちの人生をいいように政治の手段とすることをとても身勝手なこととして描いているのに、あまりにも繊細誠実で美しいため、ポールならやってくれるポールならきっと導いてくれるとだんだん観客も思ってしまうとても可哀想な存在であると思った。何せポールに対抗しうる美少年が出てこないので(ハルコンネン家は坊主で、怖い)自分の認知すら演出に利用されている感じになる。

衣装やセットも素晴らしいし、前回より物語も見やすい。映像は相変わらず圧倒的で、ストーリーもとても面白かった。投稿前に我慢していた北村先生の感想をやっと読んだのだけど、結構被ってる気がして動揺した。パクったわけではないです…。