サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

『平成ジェネレーションズFOREVER』の感想とも呼べない何か

ネタバレはふつうにしてるので気にしない人向けです。

 

いやーーーーーーー熱かった。forever熱かった。楽しかったな〜〜!!

なんか小難しい事を考えようとすればいくらでも考えられるのだけれど、去年と決定的に違うのは「ビルドが終わってる」という事で、私はビルドがとてもとても好きなので、小難しい事も放映中は考えようとしていた。でも最終回を迎えた今となってはもうなんていうの? 楽しすぎない? という気持ちで書き始めちゃったので、終始そういうテンションになるような気がしている。

舞台挨拶に行ってきた(平ジェネfinal) - サニーサイドアップフォーチュン

そんなわけで、観てきたノリのまま感想を残す。毎度「少し時間をおいたら手を加えよう」と思うのだが実行したのは数回であるので、今回もそんな感じのエントリだと思ってほしい。

 

(だいたいストーリーに沿ってお送りしますが多少の内容の前後はあります)

 

ソウゴくんの良いところは「王様になる」という意識でいるから、下々の者に対して全てを包み込むように接してくれるところだと思う。そしてゲイツの良いところは、自らのテリトリーの内側に入れた者に対して優しいところだと思う。本編ではフランスパンで首元狙ったり最低最悪の魔王になるなら俺が倒すと悲痛な決意もあったけれど、映画ではとても良いチームワーク(ツクヨミもまた体を張ってタイムマジーンで戦ったりするので、コンビネーションというよりチームワーク)で明るめにアナザーライダー──ひいては、ティードに挑んでいく。

なんていうか、例えば二人(三人)の不安や境遇を、共有するにはまだ至っていないまでも、相手の動きを予測して戦ったりとか、どういった振る舞いが彼らしいのかとか、そういう事をちゃんとわかっているという信頼が感じられてとても良かった。ジオウを持ち上げて放り投げるゲイツ、とてもエキサイティング。

 

戦兎くんと龍我は、当たり前のように二人でいるところから始まるのが最高(語彙力……)だった。戦兎くんが龍我に肉体労働を一任するのも良いし、龍我がそれに抵抗を見せないところも良い。「世界に置いてけぼり」を食らった結果、暴走しがちな戦兎くんの後を龍我が一生懸命追いかける構図が出来てるのにも心が震えた。これが一年かけて二人がベストマッチだと描き続けてきた結果なのだと、心が震えた。武藤さん脚本でないという私の恐怖は、なんかもう吹っ飛んで行ってた。ここまで来たら誰が書いてもベストマッチすんじゃないの、ねえ、ねえ!!!

カズミンや幻さんが美空ちゃんが記憶を取り戻す、というのは、フータロスによってもたらされた夢のようなものである。戦兎くんやソウゴくんが「フータロスによってもたらされた夢」のことを覚えていた、ということはつまり新世界のみんなもその事を夢として見ていたという事になるのだろうな。

美空ちゃんがめちゃくちゃ龍我の事を心配していた事実に感動した。何というか、美空ちゃんと戦兎くんと龍我が、本物の家族のように身を寄せ合っていた事がとても好きだったのだ私は。2017年末の、寿司を食べ向かいのビルに逃げ込んでいた三人の、誰よりも近いあの距離感が。だからあの美空ちゃんがフータロスが見せる夢だったとしても、ちゃんと美空ちゃんが龍我のことを心配していたことに泣いた。

 

ソウゴくんが“おかしく”なってしまったゲイツツクヨミのことに落ち込みながらも、シンゴのことを送り届けようとするところが、ソウゴくんはやはり王様なんだな……と思う。民は等しく愛すべきものであり、王たるソウゴくんの庇護下にあって然るべきものなんだよね。

めちゃくちゃ戦兎くんのこと心配してる龍我とカズミンが良さしかないんだけど、当然のように戦兎くんのところに駆けつける龍我が最高(語彙……)だ。

ところでなんで戦兎くんはティードに洗脳されなかったのだろう。やはりフータロスの能力で具現化してる夢みたいな存在であるからなんだろうか。戦兎くんたちにとってはあの世界こそが夢なので、夢を見てる人にさらに何かを見せようとするのは無理がある的なことかな。

工場でしゃがみ込むティードがとてもセクシーで好き過ぎだった。ティードのグッズ欲しい。だいたい、戦兎くんと殴り合う場面であんなにしっとりと宣戦布告するのがもうずるい。

 

シンゴと仲良くしてるカズミンも良さがすごいんだけれども、兄弟の絆とかに弱いのでシンゴとアタルの関係が、あんなに小さくても兄貴ヅラするシンゴが素晴らしい。

 

当たり前のように2ケツして来た戦兎くんと龍我(最高過ぎてメモしておかざるを得なかった)だけれども、全てが己の妄想だと語るアタルに対して、戦兎くんが落ち込むことも傷つくこともないのが、一年間「作られたヒーロー」だった彼の強さなのだと思った。

「虚構である」と突きつけられたことに対して動揺し、わずかに怯えるような顔をして見せるソウゴくんを、「作られたヒーロー」だった戦兎くんが励ます。そのうちわかるよ、の声音の優しさがまた、雨に打たれて泣いていた彼の精神的な安定を感じる。戦兎くんが一人で傷ついて雨に濡れているというシーンは何度も見てきた。ビルドにおいて雨は涙そのものだった。その戦兎くんが雨をものともしない事が、同じ雨なのに、その冷たさに負けていないのが頼もしい。

 

ウォズが暗がりからソウゴくんを起こすの、笑っていいのか迷ったがどう見ても面白シーンだったし、他のお客さんも笑ってたので良しとしようと思う。

この世界(ソウゴくんが目覚めた世界)はつまり、ソウゴくんたち『仮面ライダージオウ』の通常の世界で、『仮面ライダービルド』的にはスカイウォールのない新世界という事で良いのだろうか。アナザービルドが現れてそれを倒したことで、「仮面ライダービルド」の力をソウゴくんは受け継いだはずだけれど、ふつうに戦兎くんはジオウの二話の「葛城巧」とは違って「桐生戦兎」として存在していた。私は戦兎くんと龍我が作り出した新世界はジオウ世界とは別だと認識していた。継承の儀式は「ジオウ世界のビルド」から行われたからだ、と。アタルの世界で変身できる事、本編の記憶がある事はまだわかる。あれはフータロスがもたらした「ライダーらしき者」だったからであって、アタルの記憶やアタルの世界で放映された『仮面ライダー』を元とした夢みたいなもののはずだ。だけど、「ジオウの世界の継承の儀式を終えた戦兎くん」は「ビルド」の歴史がないから戦兎くん足り得ないはずでは……と。

と思ったけれども、私はここで補完計画を思い出した。曰く「オトナの事情にツッコむやつは馬に蹴られる」というやつだ。前述の通り、私は戦兎くんと龍我が作った新世界とジオウ世界は別だと認識している。終始興奮していた薄っすらとした記憶ではあるが、ビルドアーマーはタイムマジーンに戦兎くんが乗ったときしかなかった。他のアーマーもそうだ。尺の問題というか、クウガや電王やWのためではと言われたらそれまでなんだけど、継承してるようでしてないお祭り仕様ってことかなと思わないでもない。ま、とりあえずこの話題はこの辺で置いておこう。

 

ダブルのウォッチが二人で起動できる特別さが劇場版という感じだったし、ソウゴくんと戦兎くんがサイコーに可愛かった。

ワープ(?)の時に沢山の地球らしきものが見えるし、やっぱアタルの世界はあり得たかもしれない並行世界の一つなんだろうなと思って胸が高鳴った。実際のヒーローとしてではなく、放送される番組として存在する世界。私たちが想えば、ヒーローは存在するんだよ……。

 

アタルが、自分の憧れのヒーローに会いたいと願ったこと、なんでアタルが一年留年してるのかはわからないけど(フータロスがソウゴたちに会いやすくするためにいじった結果なのかなと都合よく考えている)その気持ちはわかる。

アタルはこの映画を見ているファンそのものだし、この映画を観に来ている人たちにはそれぞれのヒーローが心の中にいる。それに会いたいとは、やっぱり思ってしまうよなと。私にとってビルドがヒーローで、アギトが一番古い記憶なのと同じように。

ていうか、ウォズはなんで地球の本棚にアクセスできたんだ??

 

2000年、永久の名前を持つアタルが産まれたのが永久を意味する病院なのに感動しつつ、自らから兄を奪ったアナザーダブルにちゃんと怒りを向けられるアタルにまた感動してた。アタルめちゃくちゃ魅力的じゃなかろうか。主人公気質というか、お前なんだ夢小説の主人公かというか。

フータロスは何で久永兄弟を救いたかったのか、フータロスのそのきっかけが全くわからないんだけど、彼がいる事でライダーたちがアタルの「ライダーのいない世界」を認識できたのでとりあえず置いておこう。

ツクヨミがタイムマジーンで加勢に来るところ最高にカッコよかった。クウガライドウォッチをちゃんと確保して来るゲイツも最高だったし、ソウゴくん、ゲイツツクヨミのチームワークというか、ちゃんと心配して森のなか迎えに来てくれるのに安心する。最初倒しに来たというのに、今やなんていいチームなんだ。

ここでもしティード(=アナザークウガ)を倒していたらアタルたちの世界にも仮面ライダーが生まれ、テレビで放送される絵空事ではない世界線だったんだろうか。

 

2018年12月3日、放送の日程と照らし合わせるとゴースト篇あたりということになるけど、シンゴを助けるために戦兎と龍我が乗り込んで来るシーン、「そんな理屈なんてこのバカには通じない」というくだりの二人の会話がベストマッチで、随所ベストマッチするなというバカな感想を抱いていた。なんていうか、この映画、ずっと龍我の行動のきっかけに戦兎くんがいて、戦兎くんの考え方のなかに龍我がいる事が当たり前なんだよな。龍我が戦兎くんを追いかける構図が繰り返される事や、戦兎くんが何かを語る時に龍我を基準にしてる事。

正直このシンゴが歴史改変の影響を受けない特異点であるという概念がめちゃくちゃ難しくてよくわかってない。シンゴがクウガがテレビで放送されると思ったのはなんで? シンゴが影響を受けなくても周りが受けてるからテレビ番組として認識出来てたという事で良い?

 

電王のオタク大丈夫だった?

私電王未履修だったのだけど、良太郎が画面に映った時にヒェアみたいな声出たしみんな出てた。履修しようと思った。

ここでされている深い意味を持ってそうな会話の意味は全くわからない(観てないから仕方ない)んだけども、これだけ時間が経ってこれだけ彼が役者としてビッグになっても、彼が仮面ライダー──ヒーローである事実っていうのは変わらなくて、こうして10年経って少しでも帰って来てくれる事、原点と呼んでくれることの有り難みというか安心感というか、観ていない私でも感じるわけだからずっと好きな人は泣いちまったろうなって思う。

ニュース|仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER | キャスト情報&コメント発表

ところでアナザー電王を倒したのは電王アーマーではなくて電王そのものだったのはなんでなのかよくわからないけど、電王カムバでいっぱいいっぱい。

平ジェネは祭りだからね。楽しもうぜ。

 

ダブルアーマーのフィニッシュが面白くて笑いそうになったが、冷静にツッコミを入れてる戦兎くんと呑気に喜んでる龍我が可愛かった。あとアナザーダブルにさせられていた人間が誰だかわからないのはそれで良いんだろうか。

基本的に龍我は呑気に喜んでるからゲイツとハイタッチしようとして無視されるところとか、素面でないにしろ二号ライダーの絡みがあって良きである。ゲイツが割と内省的な人であるから龍我と仲良くできるのか不安もあったけど、龍我が細かい事に囚われないから全然平気だったな。

個人的にはタイムマジーンすら直して乗りこなしちゃう戦兎くんの天才ぶりに感服した。さっすが天才物理学者。

子供たちやかつて子供だった大人の声に応えるように集まってくるライダーに心が熱くなる。いや、ライドウォッチ継承したじゃんとか思わないでもないけど、ジオウの改変された世界からではなくて本来の世界からダブルライドウォッチの力で集まって来てんのかなとか、まあ祭りだからどうでもいいじゃんとか、共闘が胸熱とか、組み合わせが素晴らしいとかもう色々あった。

タカコアメダルをそっと撫でるオーズの「アンク……」然り、ドライブの「行くぞ、ベルトさん」「OK , Start your engine」然り、そういう何がしか近しい要素を持つライダー同士が同じ場所で戦ってるの最高にカッコよかった。ライブラリ音声満載でそれがお送りされて、その中で新規で収録した声がしてくるとまた嬉しくなってくる。タケル殿の「おまたせ!」とかもう嬉しくって……私ゴーストめっちゃ好きなんすわ……。

全然関係ないけど、公道をジオウと走って行くビルドの後ろから、一般市民が道路に溢れて来て仮面ライダーを応援しているという構図。「応援だ」と頭ではわかっていても、夏映画の「ビルド殲滅計画」を思い出して気管がヒュッとなった。あれは怖かった。

 

それぞれがバスバス技を決めていくだけでも大満足だし、龍我とゲイツが一緒にタイムマジーンで戦っているのも大満足だった。これは演じた二人がちゃんと龍我とゲイツの関係性について話していたということによってもたらされているというのが、二人がこの役に挑む姿勢を感じられてまた大好きになる。

赤楚衛二×押田岳、先輩ライダーからの金言「代わりはいない」 | ORICON NEWS

アナザークウガであるティードを倒して、助けられたシンゴが見た平成ライダーたち。鳥肌がゾゾゾっと立つ。演じていた彼らですらそうなのだから、ずっと見ていた人なんかもう泣いてしまうだろうし、私はこれからも頑張って見ていこうと決意した。

夢中になった平成仮面ライダーは? 奥野壮×犬飼貴丈インタビュー | ORICON NEWS

あんなにラッシュでキックを観れることなんてないだろう。怖いくらいの大爆発は圧巻だった。あの大爆発、もうなんていうか楽しくて仕方ない。

 

やっぱり模試を受けてないソウゴくんを待ってる戦兎くんがあまりにもかっこよくてヒィヒィだった。なにあの待ち方、何であんなに待ってるだけでかっこいいの? 基本的に戦兎くんもビルドも片脚重心だったり、キザに立ってたりする所があると私は思ってるんだけど、それがいちいちかっこいいんだよね。あと顔が100点。

結局存在している、という話題に、「関係ないんじゃなかったの?」と聞けるソウゴくんの切り替えの早さもソウゴくんらしいと思うんだけど、ビルドのファン的には戦兎くんの語る言葉に震えた。

「誰か一人の記憶にも残っていればいい」その戦兎くんの言葉がこの物語の中なら、戦兎くんをヒーローとした誰か(=ファン)だと思うところなんだけど、戦兎くんにとってその一人は龍我なのだ。龍我だけが覚えていてくれる事で戦兎くんはヒーローで在れるのだ。龍我が共にあった事にどれだけ救われていたのか──夏映画、最終回、ファイナルステージと観てきてよく知っているのにも関わらずこうして二人はまたベストマッチだと教えてくれることの素晴らしさ。これもまた、当たり前に描かれている二人の関係なんだろう。

私はまた、ちょっと泣いた。

【インタビュー】“相棒”として過ごした1年を経て。犬飼貴丈×赤楚衛二は、言葉を超えた絆でつながる - ライブドアニュース

また何年か経って、いやもちろん次の冬でもいい。もし戦兎くんが、もし龍我が戻って来たら、私はやはり込み上げるものを我慢できないのだと思うし、私のヒーローは仮面ライダービルド・仮面ライダークローズなのだと感じるのだと思う。

大好きなのだ、『仮面ライダービルド』が。当たり前のように2ケツしてるところを見て思う。私は、大好きなのだ。

正直めちゃくちゃVシネは怖い。流行りの解釈違いってやつが怖い。二人がベストマッチ以外の関係である可能性が怖い。いっそみんなが記憶を取り戻すことはもうこの際喜ばしいことだと思うのだ。どのエントリだかで書いたかもしれないが、愛と平和を守るために戦って来た戦兎くんに、一年間頑張ったご褒美として龍我と二人で歩める世界が用意されたのなら、物語を終える戦兎くんと龍我に、かつて愛した仲間が戻ってくることは最高のはなむけじゃないかと。でもなんとなく、怖いものは怖い。

下山さん脚本でだってベストマッチだった二人が、武藤さん脚本に戻ってベストマッチじゃない理由がわからない。

だからきっと、大丈夫だ。そう考えながら観終わって、置いてあったクローズのフライヤーを確認したら、煽り文に「by桐生戦兎」って書いてあったからなんか大丈夫な気しかしないなって思ってる。2/13追記*1

 

最高の祭りだった。レジェンドがレジェンドとして出てくる事だけじゃない。ジオウ組の信頼関係を描きながらも、霞む事なくビルド組を描き、そしてファンと平成ライダーの関係を熱く強く描ききっていた。

あとティードがすんごいかっこよかった。色気も、狂気も、恐らく自分が一番正しいと思ってることも全部全部含めて魅力的だ。

どうやらやはり大東くんもそのつもりで演じていたようなので、感じ取れてよかったなと思う。

「平ジェネ」初日にジオウVSビルドの争い?奥野壮「ライダーは確かにここにいる」(写真36枚) - 映画ナタリー

 

アタルが信じたように、私たちも信じる。もし並行世界があるなら、もしそこにヒーローがいるなら、もし世界に危機が訪れたら、もし、もし──。

それをまるっと肯定してくれるのがこの映画だった。憧れることを許してくれる。熱くなることを許してくれる。

最高の祭りだった。ありがとう平成仮面ライダー。ありがとう平成ジェネレーションズFOREVER。