夜明けの星を待ってる

私のMBTIはINFP-Tです/Mr.ハッピーエンド

ドラマ『陳情令』など感想

面白かったです。(書き足す可能性あり)

本編

youtu.be

全話振り返り、登場人物ごとの魅力語りなどしても良いかと思って見始めたけど、ちゃんと一話見るごとにツイートをするということをしていたのでそのまとめを貼ります。

だいたいそっちの感想見てねという感じ。

 

長くて大変だったけど面白かった。大変というのはボリュームがあるからということだけではなく、座学が終わり温氏が台頭し始めてから事態が好転せず、じわじわと悪化していくことやそれを視聴者としてずっと見ていなくちゃいけないことのしんどさがやはりつらい。長さの面ではフォロイーが完走しているのを見ていたし、特撮を完走した自負があったので挑んだ。フォロイーが見てなかったらおそらくはドラマの存在も知らずにいたと思う。本当に感謝です。

最初の2話*1はなんとなく「本場の中華ファンタジーってこういう設定なんだな」ということの理解に費やし、3話から始まるうきうき学園生活で魏嬰と藍湛をはじめとした登場人物を覚えて行けばいい。少年漫画のようなバトルもあり、新しい出会いもあり、ロマンスもある。名前を覚えるところまで来ると登場人物への愛着もあれば、先がどうなっていくのか気になって仕方ないだろうし、最後まで見れるはずだ。

とは言うものの16話、20話、26話と辛さが畳みかけてくる。とりあえず33話までは頑張ってみると、魏嬰がもう一人でないと知れる。私はそれを知るまであまりにものめり込んでしまった。

なぜかと言うと魏嬰があまりにも可哀想だったし、藍湛もまたあまりにも切なかった。江澄が報われて欲しい、厭離に幸せになってほしかった。2話分最初に16年後を見せられている分、どうしてそうなってしまうのかを知りたすぎて駆け抜けてしまっていた。

面白かった。なので今本当に寂しい。もう50話終わってしまったということがとても。

検閲によりBLを廃されていながら、BL作品であるということを微かに漂わせた具合も良かったし、ブロマンスとしてのいわゆる大きくて深く一言には表せない感情のやりとりも良かった。私はブロマンス(と一般的に表現される個人間のやりとり)が好きなので。この「BLなのかどうか」という微妙な表現のラインが本当に上手くて、そうやって見たい人はそうやって解釈できるように、そこまで考えてない人にもちゃんと理屈があってそうなっているように見える。身体的な距離や表情、言葉、身につけるもの*2、魏嬰と藍湛のそういう目に見える変化がとてもよい。

そう、もちろん魏嬰と藍湛が最高なのは言うまでもなく、またこの物語は2人の物語であるために2人を語るべき言葉は沢山ある。だけどもその周りもまたあまりに魅力的である。江澄、温情と温寧、藍曦臣と金光瑶、江厭離と金子軒と金凌、暁星塵と薛洋と宋嵐、江夫妻、聶兄弟……。そこかしこの執着や忠義、親愛の情が暴走し噛み合わずにいる。

あとは衣装、セット、CG、ロケーションがずっと豪華である。しかも動くのに合わせてひらひらと揺れて映える。これが本当に綺麗。

戦闘、会話のシーンなどの時間の使い方がかなり贅沢で、50話ある故の制作側の余裕を感じる。正直ちょっと冗長と思うところもないではないが、ワイヤーアクションではためく衣装は美しい。

 

ここから特に最終回周りのネタバレがあるので気をつけて欲しい。

江澄の最後のセリフ「達者でな」や観音廟から先に魏嬰と藍湛が姿を消しているの、魏嬰が江家から受けた恩や自分に課したであろう温氏への責任みたいなものから解放させてあげるみたいな印象でめちゃくちゃいいと思う。江澄って作中何度も泣いてて、尽く眉間に皺寄せて苦しそうなのに、この最後のセリフと涙がそういう「苦しさ」というよりもどこか寂しいような、一つ大人になってしまったみたいに見えるのがいい。一粒だけこぼれそうな涙すごくないですか?*3劣等感とか憎しみとか負い目とか、江澄が救われるには魏嬰からの許しと魏嬰の手を借りない成功しかないわけでしょ……。だからもう子どもの時みたいに双傑を夢見ることは難しくて、また己ではない誰かの隣で安らぎを得た師兄を引っ張ってくるようなことは、師兄が好きなら選べなくて、そういう戻れないことへの郷愁と魏嬰が魏嬰らしくあれることへの安堵じゃないですか……。

エンディングのシーンの順番が配信の媒体によって異なるらしいという情報をもらい、インターネットから比較してる方の話を上のまとめで引用している。衣装も異なるとの様子なので確認したけども、草原での別れ、聶懐桑を問い詰める時、滝での合奏は魏嬰は少なくとも同じ衣装を着ている。考えうる合理的な判断において、中国版と言われている順番が想定なんだろうなと思う。ただ、日本版は誰がどう手を加えたのかはわからないが、一度去り、そして戻り共にあるというふうに解釈を促している。私は合理的に中国版のように話は進んだのだと思うけど、長い目で見て日本版の並びのようなら幸福であっていい。家なく放浪し養子として育てられ、戦火に見舞われ破門された魏嬰が、最終的にどこかに居を構えるとなったら藍湛と共にであるということは確定事項*4なわけだから、藍湛の元を拠点として旅をしたり、蓮花塢を手伝ったり、金凌の面倒を見たり、義城を参ったりしてくれればいいと思う。

今にして思えば、本懐を遂げたのは聶懐桑と莫玄羽、そして藍湛と魏嬰だけなんだな。懐桑はもしかしたら番外編見て印象変わるかもしれないけど。莫玄羽はその身を犠牲にしてでも復讐を望んでいたわけだし、藍湛と魏嬰は言わずもがな、悪をくじき正義を通しているわけだし。江澄も藍曦臣も失うばっかりだ……。

 

生魂

youtu.be

温寧と思追の話だと聞いていたから、最終回の岐山へ行く過程の話かと思ったが、恐らくもう少し時間が経ってからの話だった。

温寧が仙師としてだいぶ成熟していて、理論立てて考えたり対象の思考をなぞったりするところがとても魏嬰に似て来ている。おじさん扱いされることにちょっとした抵抗を見せるのも、少し年代があとなのかなみたいな気持ちになる。

というか、魏嬰への恩を返したい一心だった本編から、他人を通しての自分ではなく、自分自身で思う己の在り方を模索するようになっているの、温寧という個人が成長しているからこそなんだよな。

蕭情という名前も、死んで行った温情と重なるもってこいの名前であるし、ストーリーはそういう温寧が過去を過去のものとして受け入れる話だったなと思う。自分の立場をなぞるように事件を追って解決していく中で、誰かを犠牲にして尚も自分がまだ存在すること、傀儡であること、あの時死んでさえいれば辛い思いもさせず、またしなかったろうこと。それを魏嬰の言葉で許そうという気になるのがまた良い。もちろんこれは温寧の精神世界の中の魏嬰だけど。

温寧は失ったものもたくさんあるけども、魏嬰が与えてくれたものもたくさん持っていて、それに自覚的なことがどれほど魏嬰にとって救いになるだろうと思った。

最後の思追との会話は、それそのものがもう温寧の自分に対して課した罰をなぞるようにされているのだろうと思うと、『鬼将軍』としてたくさんの人をあやめた温寧がする償いは、こうして各地の邪祟を滅ぼすことのなかに見出したんだな。

 

乱魄

youtu.be

聶明玦は聶懐桑のことちゃんと認めていて、懐桑が出来ること得意なことをちゃんとわかっていたんだなというのがまず第一にあって、だからこそ兄として守ってやりたいというのが本編だと一切描かれてないのでこれは観た方が楽しめるやつです。

懐桑は聶氏の祭刀堂のやりよう、ひいては刀霊にいいようにされることそのものが気に食わないので、それを受け入れている明玦に食ってかかるわけだけど、なんだかんだ言いながら聶明玦が実弟の言うことを全部否定しないのが「良い兄弟だな」と思う。幼少期のシーンもとてもよく、聶明玦が刀を佩かない聶懐桑に対して怒りながらもなぜ強要してこなかったかが分かり、これはもう溺愛という他ない。懐桑もどんどん自分を無くしていく兄を近くで見ているからこそ、刀霊に振り回される今のあり方を邪と言うんだろうし、ちゃんと聶兄弟がお互いを思いやり、支え合っていたのだということがよくわかる良い外伝だった。

この時の聶明玦はまだ実弟の顔を見れば己を取り戻せており、その経験あればこそ金鱗台で気が暴走した兄に向かって「私がわからないのか、兄上」という声の掛け方になったんだなと思う。

その明晰な頭脳と教養で持って、実兄を死へ追いやった事の次第を把握する聶懐桑の視線がとても良かった。このあと徹底的に金光瑶の周りを調べ上げるんだと思うが、果たして彼はどこまで知っていたんだろう。

金光瑶が聶懐桑に笛を与えたのは、決して聶明玦を悪化させることを狙ったわけじゃないと思うんだよな。なんかあの場でもし死んでくれればそりゃあ話は簡単に済むだろうと思うけど……。あれはつまり聶懐桑の無事の帰りのために金光瑶が与えた笛なら良いのにと私は思う。

 

*1:莫家の人々はその後一度も物語に絡んで来ませんでした。

*2:雲深不知処で世話になってるであろう時の魏嬰の服の材質の話を一生する女

*3:中森明菜の歌みたいだった。

*4:少なくとも、精神的には。