韓国産BLドラマの話と、望海風斗さんラストの公演の配信を見た話と、一次競演が全て出揃ってから書いてる感想。
ColorRush
一話ずつに対する詳しいところはこのまとめを読んでもらうとして。
この作品には生まれつき色の見えない「モノ」と、モノに色を与えることができる「プローブ」がいて、モノのヨヌと、ヨヌのプローブであるユハンのボーイズラブ作品です。
全体的な所感として尺がない*1のでとりあえず重要な二人のシーンを回収することに全力を傾けており、結果的にただBLな映像を見ているという感じではあったんだけど、ヨヌがユハンを受け入れてしまってからの「恋愛」の感じはとても良いなと思った。非常に内省的*2で、映像が美しい。
何も知らないヨヌからしてみれば、自分の中でばかりユハンに対する感情が大きくなっているようにしか思えなかったとしても、実際はすでに出会ったその場でもう釣り合いが取れるだけの重さをお互いに抱えるに至ってたというのも、モノであるヨヌにばかり「特別さ」を押し付けない感じでよかった。
耽美な世界観で「ふたりぼっち」が好きな人、ぜひ見てあげてください。
宝塚歌劇団 雪組『f f f -フォルティッシッシモ-』
望海風斗さんラストということで、配信を見た。
エンターテイメントを生み出す人間への賛辞、それを表現して来た望海さんというひとりの役者への、最後にして最大の賛辞であると思った。
大きく広げた風呂敷を畳むと見せかけて全力でたなびかせて、歓喜の歌で終わっていくこと。常に共にあったトップ娘役 真彩希帆さんを「運命」と呼ぶこと。次を担っていく彩風咲奈さんがナポレオンで、友情が芽生える夢のシーン。何もかも知っているかのような目をした彩凪翔さん……。全てがあまりにもドラマチックで、それでいて突き抜けた爽やかな物語で、強烈だった。卒業してしまうんだな、ということが、もちろん寂しく切ないことではあるんだけど、やり切った大団円という感じで、「最高だったでしょ?」と問われているような、そんな作品だった。
『シルクロード~盗賊と宝石~』も素晴らしくて、何が素晴らしいってフェティシズムに次ぐフェティシズム、そしてそれがピッタリと演者に当てはまっていることだと思う。盗賊の危うげな望海さん、なんだかまた人智を超える希帆さんなど。個人的には彩風さんの長身を生かした中華っぽいダンスに大興奮し、朝美さんが出てくるたびに大興奮した。
黒燕尾の破壊力すごくなかったですか?望海さんから手渡される青い薔薇、センターが彩風さんへと移行するというこのシーン、泣きすぎてもう大変でした。
そういえば、めちゃくちゃ曲が体に馴染むな…と思ったら菅野よう子さんだった。オタクとしての遺伝子に馴染んでいたらしい。
KINGDOM:LEGENDARYWAR #2,#3
というか一次競演についてまとめて書きます。
一次競演のテーマは『To the World 』です。
そろそろ注意書きが必要かと思うので残しておくが、これは私の主観で書かれた感想文であり、批評ではない。あなたが見て感じたことがあなたにとって最も正しいということを前提として欲しい。
THE BOYZ
長くなりすぎているので文字を小さくします。読まなくて良いです。
もう後に引けなくなっているのがよくわかるステージだった。全てがCHECKMATEである必要はないし、全てがCHECKMATEを超える必要はない。No Airらしさをもっと活かしたステージなら良かったのにと思うが、それはそれとして衣装、ビジュアル共に美しかったし、水を怖がるソヌを助けに入るヨンフンが最高だった。あの布が取り払われた後ろにズラッと並ぶメンバーには胸の高鳴りを感じた。あんなんなんぼあってもいいですからね。
ただアイデアやそれを盛り込むところ、実現をさせる人脈があるところなど相変わらずすごい。またジュヨンのソロで100秒パフォーマンスと同じ色合いを持ってきたり、繰り返される上下の比喩など「全てがひとつなぎである」ということを強調するのも、RtKの時よりも全てのパフォーマンスの繋がりを表現するという点で芸が細かいなと思った。あとは、やはり対面式からずっと、いろいろな皆さんが指摘していることでもあるが、ちょっとずつRtKに出ていたみんなのステージを彷彿とさせるところもあって、泣ける。ちょっとRtKのことを事務所も含めて背負い込みすぎなのではないかとも思うが……。繰り返すが、彼らの前提としてまずCHECKMATEまでのステージがあることが、あのfinalを踏まえてのKLWであることが、こんなにも大変だとは私も思わなかった。超える必要がないというのは私の意見であって、演じる側の心境ではない。そしてまた世間の期待の話でもなく、意見というのは一つではない。
今回のテーマはゲームオブスローンズらしい。流石にそれは観れない*3が、美しいだけではない悲壮感や壮絶さがあったと思います。全員見て思ったけど儚さに全振りできるのはドボだけだから活かしてこ!
この演出に凝るということのストーリーテーリング以外の利点で言えば、群舞パートの削減──恐らくは運動量の軽減と個々人の分量の確保にあるのではないかと思う。つまり一番重要なことなんだけど、ケビンとジェイコブの具合は大丈夫かい?お願いだからご飯をちゃんと食べて欲しい。私は今冷静ではないのでもうこの辺りでやめます。
iKON
完全にKingdomのステージになってた。
まず待ち曲数が多いので「二曲にしてしまおう」という発想が贅沢で羨ましかった。
この二曲目への転換の仕方も余韻がたっぷりあって良かったし、ラストのYG感が失われてないのも良かった。Kingdomっぽいミュージカル・映画調ではあったけど、そこまで盛り込むことをせず突き抜けた感じはなかったかな。これ、ロキンを見慣れた身としては「キングダムでやるやつ」という気持ちで見ていたし、かっこいいと思ったけど、本来のiKONのファンの方たちがどう思うのかはわからないなとは思った。こういう「キングダム」のステージはiKONらしさと真逆にあるのでは……。
あとは順位のことに対してカラッとしてたのが「大人」という感じで良かった。一週間胃が痛かった身としては見習いたい。最後に披露するSF9のために廊下へ激励の声を掛けてたのがめちゃくちゃ泣けた。カッコいい。
BTOB
本当に楽しそうで良かったし、この曲でもうKingdom終わりにして良くないかとすら思った。
この準備期間が楽しくて仕方ない感じ、いやに殺伐とした番組の清涼剤である。みんなのパフォーマンスを見てる時もすごく楽しそう。出てくれてありがとう……。
絶対に踊らないぞという決意と、しかし歌は上手いぞというのが対面式から一貫しており、手数の少なさは不安材料ではあるもののなにせ歌がめちゃくちゃ上手いので、セットの雰囲気も相まってとても美しかった。
体を張らないとなるとやはりセットなどで工夫するのだろうなあと思う。でも次かな?曲交換なので、それを正直歌ってみせるだけですごい良いステージになるのではという気もする。
Stray Kids
あれ、RtK出てた?と思った。あのfinalを経てのステージなのではと。
とかく、対面式からずっと使えるものは全て使うというのを感じる。要素をこれでもかと盛り込むところなど、RtKを経験してたのかというほどだなと。
どういうモチーフのストーリーかまでは伝わってこなかった節があり、これはthe boyzと共通する問題点*4だなとは思ったが、実験的なパフォーマンスの面白さは感じた。ダンサーさんが入ってくれているところ、メンバーでやったら最高だったのではと思った。
ATEEZ
いやー上手いですわ。曲のアレンジや海賊(これはもう彼らしかやらないしできない)を全面に押し出した構図。船のセットで前後を完全に区切り、人の出入りの勢いを利用したカメラの切り替え、大人数のダンサーを従える構図。
ストーリーは至ってシンプルなのだけど、それを魅力的にかつダイナミックに見せるのが上手い。
これは一位ですわ、なにもいうべきことなく。
SF9
歌謡祭っぽさのある妖艶なステージだった。
シンプルだけど色合い、雰囲気に統一感があり、またテーマ性も危うさ、艶やかさのある美しいステージだったと思う。血液のように赤い布を揺らしての表現など、セクシーでありつつ舞台作品のような比喩のさせ方がとても好みだった。
いまもはや、比喩を超えてそのものを作っちゃうレベルに達した番組の中で、あくまで見ている人間に想像させるということを優先している感じが良いと思う。
製作費問題などが取り沙汰された一次競演、終わってみて思うのは先輩たちの優しさと、出てくれてありがとうの気持ちである。
RtKが終わってすぐ、KLWが危ぶまれた。こちとら怪我人を出し、関わらず彼らのためになるならと必死に回してきたのに、そんな仕打ちがあるのかと。
もうなにより、出てくれてありがとう。この気持ちでいっぱいだ。