サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

感想『先輩、断じて恋では!』『KinnPorsche』

先輩、断じて恋では!

日本のBLドラマを最後まで観たのは初めてかもしれない。

話はかなりBLご都合主義で、急にそうなる?もしくはなんでそうなる?というところが多いが、お仕事(CG)を一つのテーマとしているためにそれをちゃんと取り扱うところはとても良かった。ただオフィスで仕事してるというだけのシチュエーション欲しさという感じがしなかったので。

当人間でもだもだとしてしまい、なんでそんな非効率なことを……となっても、心情の推察は腐女子の登場人物がしてくれるのは親切な作りだった。最終話のリモートブースでの会話がとても良く、二人の表情とか声色とかをしっかり見せてくれる演出でちょっとうるっと来た。

先輩も人としてまだ未熟とはいえ、柳瀬の突然のキスだとか市川の几帳面さだとかが辛い場面もあり、せめて先輩たちの人としての成長ももっと織り交ぜられれば良かったのではないかなと思った。個人的には、社内でまだオープンになってない人事を直属の後輩とは言え話題にしてしまうことと、公式ツイッターが同キャスト別作品*1のイラストをリツイートしたことがかなり、良くない意味で気になってしまった。

色々ご意見述べるような形になっているが、オープニング映像とエンディング映像は群を抜いて良い。

エンディング映像は公開ないのかな?

個人的には、金田宅で鴨居に頭をぶつけそうになるのを回避する柳瀬が好きです。

 

KinnPorsche

界隈では大流行りしたスーパー製作費BLドラマ。“界隈では”と付けてしまったあたり、私には特に響いてないんだなというのを隠しもしないのだけど、そういうことである。お金もかかってるし、その分スケールも大きい。映画みたいな豪華な演出もあるし、ロケーションもすごい。内容もマフィアものというノワールであることとか、強大な権力と深い謎があることとか、屈折し抑圧されたキャラクター設定とか、そういうのが刺さる人には刺さるんだと思う。謎のSEもないし、BGMも良いと思う。それらはあまねくこのドラマの良いところでもある。

ただ、私は全般的な謎の根拠なく*2二転三転する感じとか、キャラクターの行動の安易*3な感じがあんまりハマれなかった。マフィアの一族のしのぎがなんなのかもぼかされているし、ボディガードの話でありながら警備はほぼ常にガバガバで、そもそも続きを想定して作られたドラマのようなので今シリーズのみで全ての謎に区切りをつけようとはしていない。私はそういうところにやたらと引っかかってしまっているのだが、良いと評価している人の中にもそういうポイントについて愛嬌に近い捉え方をしているだけで、無視しているわけじゃないらしく、ちょっと気が楽になった。VegasとKimのキャラクターはとくべつ好きです。

NCが入る際は濃度が高いけど毎週やるわけじゃないというのは、展開上必要であればやりますという感じがして良かったかなとは思った。が、本当に濃厚な映像ではあり、それに対してそこまでのことが必要と思うのか引くのかはそれぞれだと思う。あと、原作者(男女二人のコンビ)がハラスメントで燃えているので、そういう人たちを現場に噛ませてこういう濃厚なNCを撮っていたのか、それとももっと気を遣って(制作会社は俳優の保護のため映像の拡散に敏感に対応しているイメージなので)撮影されたのかとか、確認してみるのは良いかもしれない。

多くの日本産・韓国産BLがそうであるように、限定的な世界観と若手人員で低コスト安定供給みたいなところを脱し、より成熟した映像表現に向けて成長していくための先駆けみたいな作品になるのかなとは思った。

*1:仮面ライダー出身者ばかりが出演しており、私もそこに注目したのでこのドラマを観始めたが、全く別作品であるそれらを置き換えたファンアートを公式がリツイートするのは推奨しているようで非常にいただけない。

*2:物的証拠はなく、基本的に全部証言によって明かされるので。

*3:すぐ調子に乗ったり、裏付けなく信用したりする。