サニーサイドアップフォーチュン

映画、特撮、演劇、ダンスボーカルグループ

22年月組『ブラック・ジャック 危険な賭け/FULL SWING!』

ブラック・ジャック 危険な賭け/FULL SWING!

見やすい2.5という肌触りの作品だった。ブラックジャックという題材なので命とか治療とか、そういった粘っこいテーマ性はあるものの、基本的に軽やかな進み方で楽しく観賞出来ることと思う。登場してくる女性キャラの扱いであるとか、倫理観にも反感を覚えることもない。この点はパンフレットを読んだところ時代に合わせて書き直したとのことで、その結果なのかなと思う。

ブラックジャックが口では色々言いつつも、患者のために頑張ったり説教してみたりする人で割と好感を持ちやすいタイプのキャラクターなんだなと全くブラックジャックを知らない身としては思ったのだけど、そうなると恵さんとなんでお別れに至ったのかの説明があんまりないので、別にカットしてしまっても良さそうではあり、ああいうところを残して男女の一筋縄ではいかない愛を対比させたいのが宝塚という感じだった。

また、アイリスにしろケインにしろ自分の事情と巻き込まれた事件にテンパっている状態なので常に余裕がない一方、あくまで外部から口出ししているブラックジャックに関してはいろいろ自由が利くのでコメディっぽい動きも多々あり、それが彼の愛嬌にもなっていたかなと思う。月城さんの雰囲気の中にある真面目さと相まって、可愛らしくも真摯なキャラクターになっていて良かった。

アイリスの切羽詰まっている感じが海乃さんの切実とした印象に近く思った。私の中では海乃さんって切羽詰まっていて、クールで、ぎりぎりの精神状態に置かれた絶世の美女のイメージが濃くて、それが良く似合うからだと思うんだけど、今回もその系統な感じがした。

個人的にはケインの風間柚乃さんを見ていてずっと「ミュージカル薄桜鬼 藤堂平助篇……」という気持ちになっていて、ケインのちょっと不良っぽいけどかわいげがある雰囲気がもう私に藤堂平助の夢を見せてくる。礼華はるさんとの対比(慎重さやお顔立ちの系統の差)に藤堂平助と風間千景を感じてしまう。助けてください。女性キャラクターが千鶴ちゃんだけではなく千姫や君菊もいるからできると思うんですが……ヤイサヤイサ……。

レポーターの夢奈瑠音さんも可愛くてよかったのだけど、『FULL SWING!』の風間柚乃さん・礼華はるさん・夢奈瑠音さんで歌うところの音量がバカでかくてめちゃくちゃ景気良くて良かった。歌もうまい。というか本編を見ていて、今回は『グレート・ギャツビー』の時よりも歌が上手いなという印象が強く、『ブラックジャック』の内容に関してというよりもいい歌を聴いたなというような満足感がすごかった。鳳月さんが『ELPIDIO』で不在でもこれだけ満足感があるのが楽しい、という感じだった。

あと、ブラックジャックの影を演じておられた一輝翔琉さんのお顔が非常に小さくてすごいです。