恋は雨上がりのように
とても美しい映画で爽やかで真っ直ぐでよかった。
中年のオジである店長の倫理観がしっかりしており、またあきらのことを子どもとして個人として尊重する姿勢がとても良く、さらに自分の保身だけで終わりにさせずにあきらが抱える問題に対して真摯であるという素晴らしい造形だった。
あきらも恋に恋するかわいいところと、悩みに対して向き合い方が変わっていく繊細なところがすごく良かったんだけど、なによりその美しい身体性というのを一つの造形物として使っているみたいなバランスがすごかった。
飴色パラドックス
いろいろ言いたいことはあるが、とにかく演出と合わない。撮影、色彩、美術込みで合わない。
基本的に何もかも忍んでいないため、視聴者的にはそんな隠れ方、隠し方で良いのかどうかという疑問がつきまとう。撮影する時にカメラを振っていることがあって、それも妙にチープに感じる。「裏稼業」的なモチーフに引っ張られてか、妙にしっとりとした質感である。
それはそれとして、私は蕪木と尾上の演者は可愛いと思う。可愛いと思ったので最後まで見たわけだが。特に最終回前半が好きで、蕪木はかなり初めから尾上の純粋さ信仰みたいなのにハマっているため、その理想の尾上像と実際の尾上のギャップに対して悩む構図がロマンスという感じで良かった。
あと、ケンカップル作品と聞いていたものの、そのしっとりとした作りのおかげで喧嘩感が軽減されており、ケンカップル苦手人間にとってはありがたかった。
ホリック xxxHOLiC
脚本にメリハリがないので話はそんなにまあ、って感じなんだけどとにかく演出とセットが製作の趣味でしかないのと、「吉岡里帆と磯村勇斗はエロく撮るけど実際制作がエロいと思ってるのは松村北斗」というのが香ってくるので終始「ふぅん」という気持ちを脱しない映画だった。
話は、才能があるのに使い方がわからない四月一日が、第二の母たる侑子の手により使い方を学び、母の面影に寄り添う形で将来を選んだと解釈した。私は『ツバサ』履修済みのため「四月一日と小狼……」と途中果てしなく深い迷宮に入り込みかけたものの、そこはそんなに必要なかったので安心したが、ホリックを読んだことがなくこの解釈で果たしてあっているのか……。
ゲットアウト
面白い映画だった。予想に必要なピースはちゃんとずっと出されているので多分予測できる人もいると思うが、後半が気持ちよく伏線を回収して行くだけで夢中になる。
人種差別についてしっかり扱っており、白人の黒人差別、階級や身体的な特権、アジア人……全てに皮肉と風刺が効いており、気味の悪さとその内容が両立してるのが上手い。あれだけ身体的な特徴について口にされることに不快感を覚えていたクリスが、その身体をもってして危機を脱することすらも皮肉だと思う。
同じように『アス』もあると思うけど、正直あちらは色々なものの扱い方が上手くないと思った分、『ゲットアウト』と比べて見劣ってしまうなと思った。
健太郎さん
始まりがめちゃくちゃ怖い。
理不尽系スーパーナチュラルホラーではなく、因果応報人怖い系なので、まあ趣味でないと言えばないが、始まり方がめちゃくちゃ不快で怖いので、そこだけでも見てほしいと思う。
この短さで上手く出来ていると思う。
膨らみ
「広島こわい映画祭」というものに出品されていたらしい。なんかちょっと不穏な柄の布団カバーが良いのと、家帰って妙に不安なる気持ちを煽ってて良いのではないかと思う。