サニーサイドアップフォーチュン

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君も小説『BATTLE OF TOKYO』で “超東京” を目指さないか

孤独になりたい時は、デッドメディアに頼るのがいちばん。持久力という点では、本がいちばん頑丈よ。孤独の持久力。本と私と、ふたりっきり。

  伊藤計劃『ハーモニー』早川書房, 2008年

小説『BATTLE OF TOKYO』とはどこから来たのか

一巻あらすじ(引用ではなく私が書きました)

世界中を壊滅に追い詰めた大嵐「IUS(アイアス)」から「三次元的物質複製技術(コピー)」によっていち早く復興を遂げた「超東京」で「異能(スキル)」に目覚めた若者たちがチーム──「複製(コピー)」の異能を持つ怪盗『MAD JESTERS』、「防御(プロテクト)」の異能を持つ用心棒『ROWDY SHOGUN』、「変換(コンバージョン)」の異能を持つイリュージョン集団『Astro9』、「情報簒奪(スキャニング)」の異能を持つハッカーチーム『JIGGY BOYS』──を組み、「複製不能の希少品(ファイナル・ファクト)」を巡って争いに発展していく。

この良すぎるあらすじが、小説『BATTLE OF TOKYO』(以下、BOT)の基本的な内容である。

BOTとはなんなのか──それを突き止めるために我々はアマゾンの奥地に行くでもなく、まずはインターネットで検索した。

HIROさんはこう言っている。

Jr. EXILEのメンバーみんなをキャラクター化して、アーティストとしてのリアルの世界とアバターとしてのバーチャルな世界が連動した大きなストーリーを作ってみようと思ったことがBOTに繋がりました。

こんなオタクの夢みたいなことを、真正面からやろうとしてくれるのは今ではもうHIROさんと川原礫*1しかいないんじゃないしょうか。

Jr. EXILEのメンバー38人のキャラクター化やストーリーの構築、3DCGモデルの製作、そして新たなミュージックビデオの企画から4曲分を製作するのに相当な時間をかけているからです。

そりゃそうだ

てかもう何よりここだと思う。

世界観やストーリーを作っていく上で重視したのは、Jr. EXILEのメンバー38人が自分自身でキャラクターの設定を考えるなど企画に参加してもらうことでした。

 自分で名前を決めたり、細かい設定も自由に考えてもらうことで、キャラクター化したアバターに自分自身を投影できるようになりますし、メンバーの生い立ちや成り立ち、人間関係もBOTの世界観に反映させて、アバターのストーリー自体もリアルなメンバーのストーリーと似せていきたいと思いました。

私もJr.EXILEだったら参加したいもんな。

「自分の考えた最強の設定」みたいなのをそれぞれが生み出して、しかもそれが本業の作家の手によって物語の中に組み込まれていくの、どう考えても快感だと思う。

そういう設定は大抵は思春期に作り上げるもので、大人になってこれを真剣に考えて、真剣に物語で活躍していくんだ。繰り返すが、それをちゃんと企画としてやろうとしてくれる人なんてもうHIROさんと川原礫しかいないとしか。

そして、個人的に一番びっくりしたのはこの企画に「佐藤大」が参加していることである。

佐藤大

19歳の頃、主に放送構成・作詞の分野でキャリアをスタートさせる。
その後、ゲーム業界、音楽業界での活動を経て、現在はアニメーションの脚本執筆を中心に、さまざまなメディアでの企画、脚本などを手がけている。
2007年「ストーリーライダーズ株式会社」を代表取締役として設立。

脚本の代表作『交響詩篇エウレカセブン

佐藤 大(さとう だい) – Storyriders

エウレカセブン*2といえば私が最も好きなアニメです。俄然やる気が出てくる。

どういう経緯で…という興味とともにこちらを読む。

佐藤 友人であるm-floの☆Takuさんからの紹介でHIROさんにお会いした時に構想をうかがったんです。これは面白いと感じてお手伝いをさせていただくことになりました。

m-floと友達なんだ、という別の驚きがあった。

月島 なにしろ主役級の人物が38人もいますので。壮大な物語はもちろんのこと、各自の背景なども余すところなく書き進めていきたいです。

この苦労はマジで小説を読んでいるだけでも理解できる。それぞれのメンバーにファンがいて、それぞれのグループにとって物語があるので、それらを全て尊重しなくてはならないという使命を感じるんだ。

 

小説『BATTLE OF TOKYO』を読む

そもそも、なんでこの本を読んでるかというと、買ってもらった*3からである。

一巻は顔見せの物語だ。読者はどのキャラクターが誰をモデルとして存在しているのか知っているかもしれないが、一応そうじゃない人のために特徴や設定を書いてくれている。

つまり、何も知らない人が一緒に体験していくためのキャラクターが存在するということで、それが女子高生の「マキナ」である。完全に「誰よその女」案件ではあるが、このマキナの没個性感がまたちょうど良い塩梅だった。容姿に対する言及もない。なんというか、“マキナ”であり、“私”である*4という感じ。

ストーリーもわかりやすい。まだ何にも始まってないし、満遍なくキャラクターを出して紹介することに徹している。それはこの先この本が続くことが確定しているからであり、またライブすることや他のメディアミックスがコンテンツ展開の中で予定されているからでもある。プロジェクトが死なない限り、小説も終わらない。ただ出てくる人数が本当に尋常ではないため、私みたいなジュニエグ初心者はなんらかの表を確認しながら読んだ方が良いです。

芸歴によってか『MAD JESTERS』がまず物語を左右する重要なものに関わり、その後デビュー順に分量が割かれていることなどかなり事務所を感じて面白い。錬金術の基本*5は「理解」「分解」「再構築」なので、BOT的に言うなら「情報簒奪」「変換」「複製/保護」が最終的には相互に作用するところまで見えてくる。良いですね。そういうのを真正面からやってくれる人たち、好きですよ私は。

二巻はこれから読むのだけど、

藤原:僕、以前アンケートで「好きな食べ物は?」って聞かれた時に「オムライス」と答えたんです。そうしたら、vol.2でキサラギがオムライスを食べているシーンが入っていて、こんなことまで盛り込んでくださったんだ!と驚きました。

楽しみすぎるだろ。

 

『BATTLE OF TOKYO』の音楽をやっと聴く

なんとアーティスト事務所のプロジェクトコンテンツを読んでいるのに、MVを見ていなかった。

完全に新しいシーズンが動き出しているんですけど、というところはさておき何せ四年前の動画から見始めているためみんながどことなく幼い。あとこういう「vs」というあり方は、常に「tribe」としてファミリーであることを前提にしてきた事務所だからできるよなと思った。

初期、たびたびナレーションで出てきている「超TOKYO」は私が知っている「超東京」とは別物でしょうね。なぜならこちらが2019年の始動、小説はvol.1が2021年2月25日発売だから……。それはそれとしても、「超TOKYO」は電網都市らしいので。

小説一巻には出てこないんですけど、「バビロニウム」ってなんですか?

バラル」はオタクなのでわかります。天まで届く「バベルの塔」を人間が建てようなどと言ったのは、皆が同じ言葉を使っているからだと神が言って、言葉を混乱──即ち、バラル──させた。

バビロニウムが「バビロン」のことを指すのであれば、それはバベルの塔の伝承の舞台でもあり、超自然的な力によって潰えた人間の物語と絡んでいるんだろうけど、小説で説明してくれないとわかりません。

合同ライブは19年が最初らしい。

次が22年なんですけど、

DUNG BEAT POSSE』とかいうチーム出来てるんですけど!?と思ったけれど、そういえば一巻を買ってもらった時に見せてもらった五巻にはPSYCHIC FEVERがいました。

アニメも展開するつもりらしいんですけど、ケインのキャストに入野自由くんが入り込む隙がまだあるってことですか?

*1:ソードアートオンライン』の著者。

*2:2005年放送のSFロボットアニメ。

*3:取り留めもない

*4:夢小説的な解釈として。

*5:鋼の錬金術師』に出てくる。