アフター・ヤン
AIやクローン技術があり、普通にそういう家族の構成員がいる世界でも、そういう存在に対する区別を捨てきれないというところから始まり、ヤンの見てきたものを通して段々と異なるものとの違いが移ろいで行くというところが重要なんだと思うし、それが中華系(アジア人)の養子であるミカと文化を継承するためのテクノであるヤンの視点と重なって描かれることが大切だということは理解できるんだけど、私個人としては家族の話であるというところに大変に心打たれてしまってものすごい泣いてしまった。
ヤンがミカをメイメイ(妹)として愛していたこと。ヤンはすでに家族の一員だったけども、機能停止してから「家族」として深く認識するようになること。家族との別れの作品でもあるということが存外自分に響いてしまった。
マローボーン家の掟
長男が不憫すぎて泣いてしまった。
観ている間にあんまり何も考えてなくて、あんなふうに鏡の理由があることに辛くなってしまった。一人で背負い込んだ長男ジャックが、守りたいもの全部を守れないという長男である自分に課した役割を喪失するのがあまりに悲しい。兄弟の(物語の展開上の)役割分担が典型的なのかもしれないけど、やはり長子が長子であることを理由にしているのにそれが崩壊してしまう物語にはどうにも弱い。
希望のある終わり方をしたのが良かったし、アリーがジャックの苦しさや悲しみに対して、理解を示してくれたのが良かった。
パーム・スプリングス
人生の喜びと在り方についての話で、気楽で綺麗で楽しい映像だけど、大人が勇気を出して成長する話で、良い映画だと思った。
衣装や舞台のかわいさだけでも楽しいし、お話も真っ直ぐで見やすい。あと、展開の伏線がちゃんとあって面白い。
大人になるっていうのは色んな諦めと受容の向こうにあることは確かなんだけど、何もかもを受け入れて何もかもを諦める必要なんてない。そういう素直なところが好感持てる映画だった。
ズーム/見えない参加者
工夫で怖がらせようとしてくるところが愛おしい。フィルターが霊に反応するところとか、毛布が引っかかるところとかすごく良かった。
ラストの方のびっくりする演出は来るってわかっているのにも関わらずびっくりしてしまって、結構ちゃんと最後までドキドキして見ることができて満足した。
コンジアム
チャンネル運営陣の倫理観が終わってる感じがイライラするのと、あとなんかラッシュが最後に固まってるが故に前半を観る気力が失われて行くのはあって、配分がもう少しどうにかしてくれないかなと思った。
でもラッシュはちゃんと怖いと思う。